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私は騎士団のチートな紅茶師です!  作者: 奏多
第二部 騎士団の喫茶店

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新しいことも覚えたいので

「町に……魔法の書とかってあるのかな」


 ゲームだと、魔法使いは『魔法の書』を買う。レベルが上がるとその魔法の書から自動的に魔法を覚えていくことになる。

 低・中・高レベルの魔法の書、特殊な魔法の書があって、そう何冊も大量に購入するわけではない。

 一冊あたりのお値段も覚えている。低レベルのものなら、今の私のお金でも買えるはず。


「何より火とか水とか使えれば、紅茶をさっと野外で沸かすことだってできるし、お水を持ち歩かなくてもいいわけだよね?」


 しばらくは私がやらかしてしまったこともあり……しかもその理由を説明できない。

 なので、フレイさんと飛びトカゲを死なせたくないから、早く飛べるように降りたとかいう微妙な動機しか説明していないせいだと思うけど、森とかには行かせてくれなさそうだけど。

 でも一か月の観察期間が終わったら、また討伐に同行するとか、そういうことも発生するだろう。


 ……正直、クエスト消化とかの関係で、何かしら外には出なくてはならなくなると思うので、戦闘能力も持ちたいというのが本音だ。

 何もできないのは怖いというのは、ゴブリンと戦った時にも思ったことだ。


「しかもこれだけMPがあって攻撃力高いんだもの。装甲の紙っぷりをどうにかしたら、かなりすごいと思うのよね」


 むしろ使わない手はない。

 というわけで、町で魔法書も買いたいと思った。


 まずはフレイさんにお買い物をしたいと相談。

 茶葉と、イーヴァルさん経由で買いそろえてもらう茶器やポットの形状を選んで、陶器のお店に注文するためにも、町には行かなければならないのだ。


「今日のうちに行くことはできるけど」


 午後からは時間があるというフレイさんに、私は「ぜひとも!」と答えた。

 するとフレイさんは心配そうな顔をする。


「明日とか、もう少し時間を置いてからでも良くないかい? この間からまれたばかりだけど、怖かったりするかもしれないだろう」


 用事があるから仕方なく、私が町へ行こうとしているのではないかと思ったようだ。もう少しゆっくりでもいいよと言ってくれるあたり、本当にフレイさんは良い人だ。

 でも正直、喫茶店と魔法のことで頭がいっぱいで、絡まれたことはちょっと思い出しただけですぐどこかに追いやられました。


「全くもって大丈夫です。それよりお茶です。お買い物です。カップはできるだけ好みのものにしたいんです。あ、布も買いたいです」


 そう言うと、フレイさんもさすがに呆れた表情になった。

 あ、わかりましたよ。落下のショックで頭のネジが壊れたんじゃないかこいつとか、そんなことを思ってますよね?


「あのですね、絡まれたのはショックでしたけれど、すぐフレイさんに助けていただいたじゃないですか。だからあまり後に引かなかったんですよ」


 フレイさんのおかげですと言うと、フレイさんがそうかそうかと嬉しそうな顔をして、私の肩を叩いた。


「わかった。それなら行こうか」


 フレイさんが馬を用意してくれるのを待ち、それから町へ出かける。

 最初に巡ったのはカップを揃えているお店。ここで自分好みでそう高くはないカップを選び、数を揃えてほしいことと、それを騎士団の城に届けてもらった上、支払いも騎士団持ちということを話す。

 そこに陶器のポットもあったので、そちらも注文。


 次は茶葉だ。いつものお店と、薬草のお店を回る。後は果物屋さんものぞいて、いくつか新鮮な果物を買った。

 やっぱり生の果物を使うととても高級感があるお茶ができるので、買いたかったのだ。

 喫茶店でも、一種類は毎日果物のお茶を出せるようにしたいなと目論んでいる。


 それから布のお店。

 延々といろんなお店を回らされたはずだが、フレイさんは物珍しそうにしながらついてきてくれている。


「ユラさんも縫い物はするんだね」


「そりゃあ、お洋服も普通は買うより自分で縫いますから」


 服飾店は、基本的にオーダーメイドなので高価だ。古着を買うか自分で作るのが一般的。

 ゲームで買っているのは、古着かオーダーメイドということになる。鎧なんかもそうだよね。

 そうしてようやく、私は目的のお店へ突入しようとしていた。


「あの、フレイさん。あそこのお店ものぞいてみたいんですけれど」


 私が指さしたのは本屋だ。

 魔法書も本屋で売っている。どうせレベルが足りなければ習得できないものの上、そこそこ高価なので売り主が魔法を使えなくても問題ないのだ。


「本が欲しいのかい?」


 尋ねられたとき、私はふと思い出す。フレイさんって魔法が使えたんだよなと。


「ええと、紅茶を淹れて魔法の効果があるなら、初級の魔法が使えないかなって試してみたいと思いまして……」


 もしわからないところがあった時、フレイさんに言っておけば教えてくれるかもと思った私は、そう言ってみる。


「何でも挑戦するのはいいことだよ。正直私も、ユラさんにはできるだけ身を守る手段は持っていてほしいからね」


 そう言ったフレイさんの口調が、ものすごく重かったので、先日フレイさんに与えた心のダメージが、まだ癒えていないことを感じて……私はまたも平謝りしたのだった。

 そうして無事に、初級魔法書買いました!


「かまどの火も自分でつけたりできたらいいなぁ」


 なんて言ったら、


「ずいぶん可愛い目標ですね」


 と笑われた。

 でもほら、間違ってもMP全力で使ったらどうなるかなとか、森を焼き払ったりできるのかなとか言えないじゃない?

 できればこの数値は、誰にも見せたくないもの。


 普通の人が見るのは測定石で文字じゃないから、魔女とかそういうのはわからないと思うけど。異常なMPの伸びはわかるわけで。

 これだけはどうにか隠していきたい。

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