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私は騎士団のチートな紅茶師です!  作者: 奏多
第一部 紅茶師はじめました

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新たなお茶と?

「いやいや。まだ団長様って若いのに、お祖母ちゃん扱いしちゃだめだよね……?」


 さすがにもうしわけない。

 でもそう思ってしまったのも、理由はわかる。


「お祖母ちゃんみたいにしてくれる人は、もういないものね」


 大人なんだから、頭を撫でてもらうことなどもうない。それでもしてくれるのは、親くらいのものだ。

 だからお祖母ちゃんが懐かしい。私にとって甘えさせてくれる人は、ずっとお祖母ちゃんだけだったから、なおさらだ。


「ま、お父さん扱いされるのも、団長様には迷惑だろうし」


 でもこれだけさらっと切り替えができるのは、前世の記憶のおかげだ。

 一度、親から巣立った経験があるから、親離れしなくてはという気持ちが自然と湧く。


 以前のままの私だったら、悲しくなってめそめそしていただろう。

 弱い自分も、ちゃんと心の中にある。それが基盤になっているけれど、立ち上がる方法を知っている分だけ、がんばれる。


「それに団長様のは、上司に励まされたようなものだもね」


 新人に、無理をするなと言ったぐらいのもの。

 撫でるまでしたのは、案外、お茶のせいでかなり気が緩んでいたせいじゃないのかな。


「よし」


 私は気合いを入れた。

 許可が出たんだ。巡回に持って行くお茶の準備をしなくちゃ。


「自分が飲むより、きっと振る舞った方が効率がいいよね」


 そう考えると、MP回復と気力回復のお茶を持っていきたい。防御力アップもほしい。


「あとは効率よく持って行く方法かな」


 日帰りだから、水筒でいいように思う。ただ水は重いんだよね。

 茶の葉じゃだめかな?

 試しに茶葉を調べてみたけど、お茶にした状態の半分くらいの効力しかなかった。


「ということは、葉っぱを食べてもいいけど、お茶にした方がいいってことだよね」


 やはり休憩中に、お茶を淹れてもらえるように頼むしかないか。

 そう決めてこの日は眠った。

 そして翌日、早々に私が初めての冒険に出る日を知らされた。


「明日、警戒に出ることになったよ、ユラさん。朝10時出発だ」


 フレイさんにそう連絡をもらい、私は気を引き締めながらも必要事項を確認した。


「徒歩でしょうか?」


「森へ入ってしばらくは馬。その後は徒歩だ」


「なるほどなるほど。お水も運びますか?」


「君が気にしているのはお茶だね? そのつもりで用意しているよ。カップは各自で持ち歩いているとして、茶葉とポットは君の方で用意するように。お茶は気力が回復できるものぐらいでいいと思うよ」


 忘れないようにしなくては。特にポット。鉄製の割れないものがあったはずなので、あれを借りて行こう。

 今後のことを考えると、同じものを注文しておいた方がいいかもしれない。


「わかりました!」


 元気よく返事をして準備をはじめることにする。

 オルヴェ先生にも報告し、さてと考えるのは、やはりお茶のことだ。


「薬って、複数の効果が発揮できるものがあるよね? ……お茶もそうできないかな」


 三種類のお茶を持っていきたい。

 でも一度の休憩で、三杯もお茶を飲ませるわけにもいかないだろうし、お水も沢山必要になってしまう。

 効果を一つのお茶にまとめられれば、一杯で済む。


 すでに一つ一つの効果時間は確かめた。おおよそどれも三時間ほどだ。

 一度飲めば、森の探索を終えて帰る頃まで、防御力上昇は持つと思う。

 半日と言っていたので、途中の休憩から帰るまでの時間が、おそらくそれぐらいになるしちょうどいい。


 この警戒巡回で、ゴブリンに遭遇するはずだ。

 倒すのは、フレイさん達にたよるしかない。私が前に出るとただの足でまといだから。

 せめてその補助になるようなものを、持っていきたい。


「お茶っ葉まぜるか……」


 でも単純に混ぜただけだと、何かが相殺し合って、気力がちょっと復活したかなぁ? ぐらいの効果しかなくなってしまった。

 ゴブリン精霊も現れず、気力回復もたったの+3。

 これじゃ意味がない。


「じゃあ、混ぜて作るか」


 紅茶を作る時に、二種類の乾燥フルーツを混ぜる。これだ。

 さっそく実行してみた。

 紅茶を煎ると、いつも通りカマドからゴブリン精霊が飛び出して、フライパンの茶葉に煙を投げつけて去る。

 そこに乾燥オレンジと林檎を混ぜ、出来たものでお茶を淹れた。


「すっきりした甘い香り……。ミルク入れたら分離しちゃうかな? でもこのままでも、十分おいしそう」


 でも飲む前に、まずはチェック。


「画面おーぷーん」


 そうして開いた画面には、期待した効果が出ていた。


《フルーツティーOA:物理防御+3、魔力の回復+8。スキル練度+15》


「おおおおお。やった、二つ入った! OAって、オレンジとアップルってことかな?」


 私は喜びながら、とりあえず飲む。

 すんごくフルーティーな香りがして、我慢できなかったし、問題ないない。


「お茶作るとMP減るみたいだしね」


 お茶一杯作成で、MPが5減るみたい。微々たるものだけど、回復して悪いことなどないのでいいだろう。

 そうしてお茶を飲んでいると、画面に変な表示を見つけた。


《紅茶師スキルレベルアップ!》


「お」


 やった。スキルレベルが上がったらしい。

 これで私の逃げ足も、少しは上がったのではないだろうか。

 ふんふんと鼻歌をくちずさみながら自分のステータスを見る。


 速さとか攻撃力みたいな、そういうステータスはちみちみと1しか上がってない。でも上がらないよりまし……。

 HPとMPもちょこっと上がった。


 でも何より変なものを見つける。

 スキル欄の下に、変な文章が追加されていた。


「紅茶スキルレベル6……チャンネルGが追加されました?」


 テレビの選局じゃあるまいし、これ、何?

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