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私は騎士団のチートな紅茶師です!  作者: 奏多
第二部 騎士団の喫茶店

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二人だけで詳細を話しましょう

 お茶は明日、朝起きてから淹れるつもりだ。

 そのために夜のうちに準備をしておくことにした。


 明日持って行く水筒は三つ。

 中身はハニーティーで、心を穏やかにさせようと思う。いきなり気が変わったと言って、襲われてはこまるから。魔物だものね。


 そしてやがて来るだろう団長様にも、お茶を用意しておく。

 今回はそこまで額に青筋が浮かんだり、怒られるようなことはしていないはず。だけど色々と心労をかけたと思うので……落ち着いた気持ちでね、お話できたらと。

 普通の紅茶で気力が回復するだけでも、怒りにくくなるかなとか。


 こ……怖いわけじゃないんですよ。

 ただ、団長様には魔女のことについてもあんまり嘘がつけないし、内緒にしていることを隠すために、不審な言動をしても、ゆるっと流してほしいだけで。

 そんなことを考えているうちに、団長様がやってきた。


「いらっしゃいませ」


 なんとなくそう言うと、団長様が苦笑した。


「ここはお前の店ではないだろう、ユラ」


「はい。でもお茶を作っているとそんな気になってしまって」


 茶葉がそろっていさえすれば、紅茶は喫茶店でもこちらの台所でも作れる。むしろここで作っていた期間の方が長いので、仕事の延長をしているような気すらしていた。

 好きなので苦ではないのだけど。

 席に着いた団長様は、まずふるまわれたお茶を飲んだ後で、私に朗報をくれた。


「まず、明日は私の竜に乗せて行くことにした」


「え、大丈夫ですか?」


 団長様が動きやすいようにという理由と、フレイさんの不安のこともあって


「今日のことで、問題が出たからな。フレイの飛びトカゲを、クー・シーに近づけ続けるのは難しい。なだめ続けられなくなるだろうとイーヴァルも意見してきたし、帰城後の飛びトカゲの様子から判断された」


 トカゲ達の厩舎へ戻ってからも、フレイさんの飛びトカゲは不安が収まらない様子だったようだ。


「明日も無事に越えたとしても、飛びトカゲを休ませなければならなくなる。その方が騎士団にとっては損失だ。これについてはフレイも了承した」


 それで竜を使う団長様が、ということになったそうだ。

 もう一つ団長様には懸念があったらしい。


「お前がクー・シーと話しにくいと思ってな。魔物と話す内容も、気にしないでいられるならその方がいいだろう」


「はい、それは確かに」


 フレイさんに誤魔化すのも、ひやひやしたものだ。ある程度秘密を知っている団長様の方が、楽に話せていい。

 なのでお礼を言った。


「ありがとうございます」


「礼には及ばない。むしろ言いにくかった部分も含めて、改めて報告をしてもらいたい」


 団長様に求められて、私は補足を加えて説明した。


「まず、地上に降りてみた時に少し地面に魔力を流してみたら、魔法陣みたいな線が一瞬見えまして。たぶんこれを壊せばいいのだなというのはわかったのです。中心にあった魔石に、死んだ魔物から集められた魔力が込められていました」


「そうか。魔力を集めるためのものだったか……」


 私はうなずく。


「問題は私が魔力を注いで、あの魔法陣が役目を早急に終わらせられるのか、無尽蔵に集め続けるのかわからなくて。団長様に相談の上、何かお茶で解決できそうなものを研究しようかどうかと考えていたんです」


 そこにクー・シーが現れた。


「このままじゃ、クー・シーに襲われると思った時に、近くに来た精霊に魔女の力を使えと言われて」


「力……?」


「あの、レベルが上がると特定の魔物と話したり言葉がわかったりするんです。そういう技みたいなのがあって」


 とてもボタンが表示されるとは言えない。


「精霊がクー・シーにも使えると教えてくれたので、それで話を聞いてみたら、どうも私か私のお茶から魔力の香りがするらしくて、捕まえようとしていたことがわかったんです」


「……やはり危険な状況だったな」


「です。だけどもっと重要なのはそこじゃないんです。クー・シー達も魔物が寄って来るあの魔法陣が邪魔だったみたいで、壊したいけど魔力が足りないと言っていたんです」


 団長様が「なるほど」と言った。


「だからお前は取引をしようとしたのか」


「はい。魔力を与えるのと引き換えに、クー・シーに原因を破壊してもらえばいいと考えました」


「魔力と引き換えなら、確かにお茶と引き換えと言われるよりも納得できるな」


 団長様がふっと息をつく。


「それなら試す価値はあるだろう。まずはやってみるがいい。竜に乗っている限りは、クー・シー達もおいそれと手を出せないだろうからな」


「竜ってすごいですよね。ブレスも強かったですし」


 あれダメージどれくらい出るなのかな……。広範囲攻撃もできて、すごくいいなぁとか思ってしまった。

 落ち着いて後で考えてから、のことだけど。その瞬間はさすがに、自分の命の心配で心がいっぱいだったので、じんわりと考える余裕もなかったし。

 ああ、私も大ダメージを出せる魔法が使えるようになりたい……と思ったところで、ハッとする。


「団長様、一個お願いがあるんです」


「何だ?」


「魔法書、中級と上級をくれませんか? 初級はパラッとめくるだけで覚えられたんで、その二つもコンプリートすると、私の戦力が増強できる可能性があります」


「めくるだけ……」


 さすがの団長様も、この言葉にはあっけにとられたようだ。

 しかし数秒後には、くっくっくと笑い出す。


「本当にお前は規格外というか。いいだろう、魔法書を手配しておく。他の者に持たせると説明が面倒なことになるだろうから、イーヴァルか私から渡す。明日以降のことになると思うが……」


「やった、ありがとうございます! これで強くなれます!」


 喜ぶと団長様が微笑ましそうなものを見るような目をした。


「お前が身を守れるようになるのは、こちらとしても望ましい。上手く習得できるよう願ってる」

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