始まり
Re:悪魔って飼えますか?
前略 お母さん、実はいろいろな事情で悪魔を飼うことになりました。
正直なんでこんなことになったのか分からないけど今も隣で優雅にお茶すすってます。
もしバカバカしいと思ったらこのメールは気にしなくてもいいです。
何かあったらまた連絡します。
そうメールを打ち終えると安曇八雅は軽いため息をつく。
「…」
こちらを見るような視線を感じ目線を向けると、長い金糸が八雅の顔にかかった。
八雅は少し鬱陶しい様子でその髪を払う。
「ルシファー。お前帰るアテないの?」
ルシファーと呼ばれた人物こそ、この家で厄介になっている悪魔である。
美しいほどのプラチナブロンドに澄んだ黄水晶の目を持つ悪魔という言葉とはかけ離れた美男で、悪魔の証拠といえば肩に刻まれた紋章くらいだった。
そんな「彼」がこの家に住み着く事になった経緯は追って話すとして。
八雅に帰らないのかと聞かれたルシファーは首を横に振る。
「私は契約の期限が切れるまで主と共にいる」
そう言うと、そっとお茶を差し出すルシファーにお礼を言いつつも残念そうな表情を浮かべた八雅。
この会話で分かると思うが、八雅とルシファーは主従関係にある。
しかし、八雅には黒魔術の知識も興味もない。
そんな八雅が何故悪魔であるルシファーの主になったか………。
結論を述べてしまえば「偶然」なのだろう。
生きていれば驚くような事の一つや二つくらいある
八雅はそう考えることにした。
暫くぼんやりしていると、思いついた様に椅子から立ち上がりルシファーを見る。
「ルシファー。どっか行くかい?」
「外にか?」
嬉しそうな様子を見せるルシファーに八雅は頷いた。
「姿は消してないとダメだけどさ」
「分かった」
ルシファーの姿は一瞬にして消え、彼がいた場所はモヤのように霞んでいた。
そのかすみを見れるのは主である八雅のみ…。
周りからは何の変哲もない部屋の一角に見える。
………筈だ。
「ほんとに消えてんのかな。これ」
「気になるなら他に聞けば良い」
ルシファーはそう言うが、そんな事を言っていたら変人扱いされるのでやめておく。
「それじゃあ、行くか」
「私は、たい焼きが食べたい」
姿を消し、誰かとぶつかることがないよう宙に浮かぶルシファーはそう言って八雅の手を取る。
「はいはい、後で買ってやるから」
八雅はそっと手を下ろすとフードを被って外に出た。
外に広がる青空に少し目を細めると、八雅はデパートに向かって歩き出す。
不思議な不思議な「悪魔」との生活は
まだ始まったばかり……。
初めまして、最近黒魔術や悪魔といったものに興味が湧き…只知るだけではあれかと小説にしてみることにしました。
ホントは漫画にしたかったけど自分にそんな画力ないので諦めてます。
内容は、ギャグを中心にしていけるのならいいなと思ってますが、何せ思いつきで始めたので途中内容が「あれ?こんなんだっけ?」となるかも知れません。黒魔術とかはWikipediaや専門サイトから抜粋したものを自分なりに解釈して書いています。
詳しく知りたい人はその手のサイトをどうぞ。
最後に、もし意見や感想があったら遠慮せずにどんどんお願いします。
誹謗中傷でなければ真摯に受け止め頑張ります。