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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File.26 沙紀とタロ

 午前零時を過ぎた特異研の病棟にある待合スペース。そこには椅子に座り考え込む大祐の姿があった。

 警部が手配してくれていた救急車で運ばれた沙紀はすぐに手術室へと運ばれ、命に別条はなかったが出血量が多かった為、そのまま入院となった。大祐も自分では気づいてはいなかったが多少の怪我があった為同様に治療を受けることになった。皐月からは、そのまま帰宅するように言われたが帰る気には慣れず報告書を書くために事件の振り返りをしておくことにしたのだった。


 「そもそもこの事件は何だったんだ?」


 犯人である杉浦氏と仲間であったはずの少年と少女。自分達が駆け付けた時には既に仲間割れを起こしており何が起きているのか分からなかった。ただ分かったのは彼等は目的があって沙紀に近づいていたこと。ただ沙紀自身はよく分かっていないらしい。接点としては、杉浦氏の亡くなった娘である緋奈だが学園の事件とも別物のような気がする。


 「あぁ、ここにいたんだね。まだ帰ってないと聞いたから探したよ」


 「課長! お疲れ様です。沙紀さんの病室ならあちらです」


 「ありがとう。ぐっすり眠っていたよ。大熊君は、帰らないのかい?」


 「少し落ち着かなくて。帰っても眠れそうにないので、朝まで警護がてら報告書の要点をまとめていようかと」


 娘のことを心配してくれる部下に感謝する九重だったが、大祐の姿が沙紀の相棒だった彼の姿と重なってしまい少しほっこりする。彼も毎晩、沙紀のベッドの下で彼女を守るように横たわっていたなと。ふとそんなことを思ってしまう自分をまずいと思った九重は、大祐に気づかれまいと誤魔化すように自販機へ向かい二人分のコーヒーを購入した。


 (いけない、いけない。彼は人間、自分の大切な部下だ。でも、似ているんだよなぁ)


 「はい、どうぞ」


 「ありがとうございます」


 九重の視線に含まれた感情を敏感に感じ取った大祐は、大きなため息をつく。


 「そんなに似ていますか? タロに…………」


 「いや、そんなことは…………。似ているかな。彼もいつも沙紀君の側から離れなかった。秋田犬で大きかったけど気は優しくてちょっと臆病で憎めない子だったよ。記憶を無くした彼女が唯一覚えていた家族だ」


 課長の言葉に大祐は驚いた。てっきりタロは、課長達に引き取られてから飼っていた犬だとばかり思っていた。


 「じゃあ、記憶を無くした沙紀さんと一緒に保護されたんですか?」


 「うん、彼女のご両親が殺害されてショックで街をさ迷っていたところを保護された時にね」


 「ご両親って…………。課長は、沙紀さんの素性を知っているんですか?」


 「あぁ、知っている。あの子が記憶を失っていることが分かったから政府の協力者と一緒に徹底的に彼女の情報を隠蔽した。代わりの死体を用意して葬儀も執り行った。そうでもしないとあの子を隠すことが出来ないからね」


 課長から語られる沙紀の秘密を知って大祐の背筋に冷や汗が流れた。まるで世間話をするように重大な秘匿事項を語ってくる課長が少し怖い。


 「そんな重要なこと、自分なんかに話していいんですか?」


 「うん、君はあの方に気に入られているからね。積極的に巻き込むことにした。何より沙紀君自身も君のことがお気に入りになっているようだからね、タロ君?」


 「あの方って、もしかして…………」


 大祐の脳裏にある女性の姿がよみがえる。


 「まぁ、詳しい話は追々ね。あとで過去の捜査事件のファイルを送るから目を通しておいてくれる? 沙紀君本人には、目が覚めたら少し話そうと思っているから。じゃあ、失礼するよ」


 そう言い残すと課長は、コーヒーを手に沙紀の病室の方へ去って行った。




 

 



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