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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File25. 第2ラウンド

 トラップを抜け、行内にたどり着いた大祐が見たのは、血を流し床に伏せっている沙紀の姿だった。首周りを中心に衣服が血で染まっている。


 「沙紀さん!?」


 血だまりが出来るほど、深い傷を負い倒れている姿を見て大祐は、その場に立ち尽くす。沙紀の周りでは犯人達が仲間割れでもしているのか戦闘を行っている。


 「大祐! こっちにこい!」


 そう言って、田丸は大祐の腕を掴み、柱の影に隠れる。その横で皐月は、インカムを使い沙紀にコンタクトを取っていた。


 「さっちゃん、さっちゃん、返事をしてちょうだい」


 皐月が何度も呼びかけるが沙紀からの応答は無い。


 「姐さん、どうする?」


 「とにかく、さっちゃんの傷を見るのが先決なんだけど………………」


 「あいつら、仲間割れしてるみたいだし大丈夫じゃないか?」


 「そう簡単にはいかないでしょう?」


 ガターン。彼等の戦闘はやむ気配がない。どんどんと大きな物音をたてては、行内のカウンターや待合用の席が飛び交い続けている。そんな彼等の様子を伺いながら沙紀の元へ近づく算段をつける為に状況の確認を三人は行っていた。


 「どうやら、本格的に仲間割れしてるみたいだな」


 「その上、さっちゃんの周りに結界張られちゃったわよ」


 「でも、これってチャンスじゃないですか? 今なら奴らに気付かれないで沙紀さんを助けることが出来るかも。俺、行きます」


 「待て!!」


 駆け出した大祐を寸前の所で羽交い絞めにして抑えこんだ田丸は、耳元で怒鳴る。


 「アホか、お前は!! 状況をよく見ろ!」


 「沙紀さんをあのままにしておけません!」


 興奮して半ば正常な判断を下せなくなっている大祐を見て、皐月はその顔をピシャリと思い切り叩いた。


 「落ち着きなさい、この駄犬が。 こんな状況であなたに暴走されたら迷惑だわ」


 「しかし……………」


 「こんな時こそ冷静に判断しなければ、本当に取り返しのつかない事になるのよ」


 皐月の言葉に幾分か頭が冷えた大祐はうなだれる。


 (…………………落ち着け! 冷静にならなければ……………)


 大祐が大人しくなったのを見て、田丸は大祐を離す。


 (姐さん、いくら苛立っているからって駄犬は…………。大祐も気づけ)


 「………………さ…………つ…………。皐月ちゃん………………」


 殺伐とした空気が流れる皐月達だったが、インカムから聞こえたか細い声に即反応をする。


 「さっちゃん? 無事なの?」


 「おー、よかったー」


 「沙紀さん!!」


 「………………大熊。うるさい、怒鳴らないで」


 沙紀からの辛辣な言葉を聞いて大祐は逆に安心する。


 (良かった! 沙紀さん!)


 「さっちゃん、大丈夫なの?」


 「あんまり。傷はとりあえず塞いだけど、血が出すぎたみたい」


 「じゃあ、さっさと片付けないとまずいな」


 「うん。今から指示を伝える。皐月ちゃんは、能力発動の準備を。田丸は、捕縛の準備。皐月ちゃんは、能力を使用し彼らの足を止めたのち退避。足止めと同時に田丸は、あのカップルの少女に対し攻撃。建物の結界を張っているのは彼女だから、彼女を捕縛なりすれば外の警官隊が踏み込める」


 「了解、じゃあ、準備を始めるわ。準備完了したら知らせるわ」


 皐月はそう言うと装備品の中からいくつかの小瓶を取り出す。田丸は、銃の安全装置を外し、弾の確認を行う。二人の様子を側でただ見ているだけの大祐は、自分はどうすればいいのだろうと途方にくれる。


 「大熊」


 「はい!」


 「あなたは、2人が行動を開始したと同時に私の側までダッシュ。彼が張ってくれた炎の結界を開くから中に入ってきて」


 「了解です」


 皐月は、小瓶の蓋を開けそれを奥に転がす。


 「さっちゃん、準備完了!」


 「じゃあ、合図と共に第2ラウンド開始ということで。いくわよ、3・2・1・GO!」


 三人は沙紀の合図を受け、各々の行動を開始した。


 

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