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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File.21 混濁

 銃口を突きつけられた沙紀は、ゆっくりと後ろを振り返りながら銃口から距離を取る。そして、自分に向けられた銃の持ち主を確認する。そこにいたのは、先ほどまで立てこもりの被害者だとされていた男女の年若いカップルだった。

 銃口を突きつけている少年は、茶髪の髪を少し伸ばした童顔。年頃としては自分よりも少し下。そして少年の後ろに立っている少女は、沙紀が入口へ向かえないように手には刃を仕込んだ杖を持ち退路を塞いでいた。少女は、癖のない髪を背中まで伸ばし無造作に一本にまとめており年齢に似つかわしくない落ち着きを備えている。


 (あの杖は仕込み杖だったのね。まぁ、この部屋に入った時点で共犯だとは思ったけど。大熊ほどではないけど勘は鈍っていなかったみたい)


 行内に足を踏み入れた時点で違和感を感じていた。他の立てこもりの被害者達は手足を縛られているのに対して彼等は縛られず自由だった。何等かの障害があると思われていた少女がいたので可能性としては五分五分だったが。


 「やっぱり、あなたがたも共犯だったんですね?」

 

 「へぇ? 分ってて乗り込んできたんだ。見かけによらず度胸があるね」


 「ありがとうと言っておきます。で、あなた方の目的は? 杉浦氏の目的が私に会うと言うことなら、あなたがたは?」


 「僕達だって一緒だよ。あなたに会いたかったんだ。天見 華音さん」


 「杉浦氏もあなた方も他の誰かと私を間違えていらっしゃるようですね。残念ながらその名前に全く聞き覚えはありません。私は九重 沙紀です」


 沙紀の変わらぬ態度を見て、少年はどこか嘲りをふくんだ顔で笑った。


 「そんな言葉、信じると思う?」


 「信じるも信じないも勝手にしてください。さっさと、私に用件を伝えたらどうです?」


 「………………涼。トラップに引っかかった奴らがいる。多分、その人の仲間」


 「分った。サンキュ、千夏。さすがに一人で乗り込むほど馬鹿じゃないか」


 「そう、その女性がトラップと結界の創製者ですか。じゃあ、諦めて捕縛されたらどうです?」


 「悪いけどそうもいかないんだ。そんなことになったらマスターに怒られるからさ」


 「マスター? 誰か命令を下した人間がいるんですね」


 「マスターのこと忘れちゃった? じゃあ、記憶が無いっていうのはあながち嘘じゃないんだね。……………無駄足か」


 「作戦終了?」


 「そうだね、千夏。ここにいても仕方ないみたいだ。帰ろう」


 そう言うと少年は少女を連れ立って去ろうとする。


 「待ちなさい!!」


 沙紀は、銃口を2人に突きつける。


 「あなたがたが共犯者であるなら逃がすわけにはいきません」


 「へ――――、どうやってさ?」


 少年の瞳が物騒な光を宿し、手を振り上げたと同時にすさまじい突風がかまいたちとなり沙紀に襲いかかった。咄嗟に腕でかばいシールドを張ったがタイミングがズレた為、全ては防ぎきれなかった。


 「!? しまった」


 突風が止んだ後、沙紀の顔や腕からは大量の血が流れていた。かまいたちは装備すらも切り裂き、運悪く首元の動脈を傷つけたらしくかなりの出血でそのまま沙紀は意識を閉ざしてしまった。


 (………………………最悪。…………………皆、無事なの?)





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