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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File.20  誕生⁉危険探知犬

 「いいかげんにしやがれ――――――――――――!!」


 田丸の叫びが部屋に響く。その足元では、疲れ果てた大祐と皐月が座り込んでいた。部屋に入ること、十分。時間にしては短い。が、三人にとっては何倍もの時間と労力を使った十分だ。


 そもそも、建物に侵入した時に着いた部屋には三十個のドアがあった。そのドアのいずれかの先にこのトラップの出口があるだろうと結論を付けた三人は、慎重に一つ、一つ、ドアを開けていく作業にあたることにした。


 今までの経験からしてすぐにかたがつくだろうと楽観視していた田丸と皐月ではあったが、ところがどっこいそうそう楽にはいかないということを身をもって知らされていた。これまでに仕掛けられていたトラップは、そこまでひどい物ではなかった。


 例えば、開けた先が極寒の地であったり、突然の雷雨にさらされたり、逆に太陽がさんさんと降り注ぐ砂漠だったりした。ただ、このトラップの性質が悪いのは、一度入るとドアが消えてしまい、その空間の何処かにあるドアを通らなければ元の場所に戻れないということだ。

 今までは皐月の感応能力でドアの場所を探知しつつ、たまに働く大祐の勘に助けられて被害は出ていない。ただ、皐月の疲労も大分深刻なものになっているようでつらそうである。その上、このドアは一度部屋に入ると正解の扉の位置がリセットされるようだった。


 「………………大祐君。あなた、残りのドアで入っても大丈夫そうだなっていうドアを探しなさい」


 「は? そんなの分りませんよ……………」


 「いいから、探せって言ってんだよ。無駄口を叩く暇があるならやれ」


 皐月のドスの聞いた声と鬼のような形相に大祐はすぐに立ち上がり探し始める。


 (と言われてもな……………。このドアは止めよ)


 ドアの前を行ったり来たりし始めた大祐を見物しながら、田丸は皐月の隣にしゃがみこんで皐月に水を手渡す。


 「姐さん、水。てか、大祐の言う通り、ドアを判別するなんて無理じゃないですか?」


 ゴクゴクと喉を鳴らしながら水を飲み、ひとごこちついた皐月は田丸の疑問に答えた。


 「さっちゃんがね、言ったのよ。大祐君は危険探知犬だって」


 「危険探知犬?」


 「そう。彼の特異能力は、予知なのよ。それもかなりの精度を持ったね。と言っても意識して自在に使える能力ってわけじゃないらしいわ。だから、使うとしてもすぐ近くにせまった危険が本能で嗅ぎ取れる程度。だから、危険探知犬ですって」


 「そうなんですか。でも………………姐さん?」


 「何?」


 「犬はひどくないっすか?」

 

 普段から冗談で犬扱いしてきたが、自分的にはあくまで冗談のつもりだったんだがと田丸は思った。


 「命名したのは、さっちゃんよ。何でも昔飼っていた犬に似てるらしいわ」


 「……………さっちゃんが命名したなら仕方ないか。一応、愛情はあるわけだし」


 「そういうこと。でも、さっちゃんが本人に命名するまでは内緒よ」


 「了解っす。おっ、戻ってきましたよ」


 一通り、ドアを調べ終わった大祐がダッシュで戻ってきた。


 「あの、一応これかなっていうのはありましたけど………………」


 「そう、じゃあ行くわよ」


 「了解。どれだ? 大祐」


 「あれです」


 大祐は、一番左端のドアを指差す。そのドアを目で確認すると三人は、ドアの前へと移動する。そして、先程までと同じように田丸が先頭に立ち、皐月、大祐と続き準備を整える。


 「行くぞ!!」


 田丸は、後ろの2人にそう叫ぶと思い切りドアを開け放った。





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