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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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91/162

File.19 目的

 「私の身元を知っているということは、既にお店の方へ行かれたのでしょう?」


 「えぇ。あなたの娘さんの遺骨は既に返還されているはず、なのに今さらこんな事件を起こすなんて。目的は何?」


 目の前の立つ杉浦に問いかける。沙紀を真っ直ぐ見つめるその目には思慮深い知性の光が宿って見える。はっきり言ってこんな馬鹿げた事件を起こすような人間とは思えない。あるとしたら彼等の一族で流れている噂とやらだが、それは彼等の当主が否定している。


 「そもそも私達はあの子があの学園にいたことを本当に最後の最後まで知らなかった。あの子にはある術を家族のそれぞれがかけていた。命の危機に瀕した時だけに発動する術を。我々は一族の中でもそれなりに能力は高いと自負していた。その三人分の術ですらあの子を守ることが出来なかった。だからこそ様々な伝手を使い真実を追い求めることを決めました」


 「あの事件を起こした奴らは相当の手練れだった。私の力もまるで歯が立たなかった。どんな炎もコントロール出来ると思っていた私の力すら受け付けない炎」


 「あなたの力を受け付けない炎? そんなものあるものか!」


 自分の言葉に声を荒げた杉浦の隙をつきチョッキに隠し持っていた拳銃の銃口を杉浦へ沙紀は向けた。一瞬ひるんだものの杉浦は自らに向けられた銃口を見て笑った。


 「全く金で雇っただけの人間は、駄目ですね。ボディチェックの一つもまともに出来ないとは」


 「そうね、今の裏社会はまともに仕事を出来る奴はこんな依頼引き受けないでしょう。真実を追い求めていたあなた方がこんな事件を起こす気になったのは何故? そもそもお店に通っていた私に身元を明かして話を聞けばいいだけでしょう」


 「あなたの個人情報は伝手を使えば簡単に調べることが出来た。初めてお店にいらした時にお顔を拝見して生きておられたのだと思いました。しかし、あなたの気配と力に違和感があり確信を持てなかった」


 「違和感?」


 杉浦と話しをしながら沙紀は、人質との距離を測り少しづつ移動する。話に夢中になり始めた杉浦はそれに気づいてはいない。


 「あの方達の気配を一切感じないのです。あなたが生きているなら絶対になくてはならないあの方達の気配を」


 「あの方達ね。そう言われてもさっぱり分からない。だって私には過去の記憶が一切ないのだから」


 「記憶がない? 本当にないのですか? ご家族のことも、一族のことも!」


 「ないわね。だから知り合いかもしれないあなたを傷つけようとも心は痛まないのよね!」


 沙紀はそう叫ぶと威嚇射撃を放った。杉浦は、それを察知し後方へと跳び、距離を取る。沙紀は、人質の元へ急ぎ、その無事を確認する。


 「お怪我はありませんか? なければ急いで外へ!」


 「はい…………」


 カップルは、ゆっくりとだが行外へと向かい始める。沙紀はそれを確認すると前方へと視線を戻す。そして杉浦へと詰め寄ろうとした瞬間、自分の背中に銃口が突きつけられたのを感じ取る。


 「なーんてね。悪いけど、そうはいかないんだよね」


  銃口を突きつけたのは、人質の少年だった。そして少年はクスクスと笑いながら言った。


 「悪いけどあなたに用事があるのは僕達もなんだ」


 

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