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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File.18 侵入<2>

 「身代金の準備が出来たぞ」


 捜査本部のテントを出るとジュラルミンケースをを積んだ台車の前で鈴木警部がスタンバイしていた。その横では不安そうな表情の銀行関係者達が所在なさげに立っている。


 「よく準備出来ましたね。それとも偽物も混ざっているんですか?」


 「いや、全部本物だ。まぁ、特異課の事件だから何かあってもお国がどうにかするだろう?」


 「全部燃やしてしまったとしても補填はされるでしょう。人質の命と犯人逮捕が優先ですから」


 燃やすという言葉に銀行関係者は、びくりと体を震わすと青ざめた表情で沙紀達のやり取りを伺っている。


 「一応、ケースにはGPSを入れてある。金を持って逃げ出した奴らがいたら確保はこっちに任されてくれ。あと逃走車両は裏口に止めてある、これは鍵だ」


 『九重刑事、銀行の結界が解かれました。田丸刑事達は侵入を開始しました』


 「了解。なるべくゆっくり進むから彼等が侵入成功したらすぐに報告をお願いします。警部、バックアップは頼みます」


 沙紀は外れることがないようにインカムを再度装着し直すと台車のハンドルに手をのせてゆっくり銀行へと歩き出す。その姿を見送った鈴木警部も犯人達の追跡に備えて逃走車両近くの待機所へ急いで向かった。


 (さてと、あとは3人がどれぐらいで侵入出来るかね)


 台車を押しながら銀行の入口に目を向けて様子を伺う。入口には銃火器を持った男達が待機している。もちろん銃口を沙紀へと向けて。犯人達は荒事に慣れているのか焦りも苛立ちも感じられない。沙紀が歩調を緩めて歩いているのも気にはしていないようだ。


 (むしろ焦るのはこちら側か。そろそろ、入口だけれど侵入出来たのかしら)


 『九重刑事、侵入成功です。お気を付けて』


 (さて今度はこちらの番ね)


 「ご要望の身代金です」


 入口に着いた沙紀が犯人に告げると犯人の一人が近づいてくる。


 「両腕を上げろ。ボディチェックをさせてもらう」


 「どうぞ」


 沙紀が両腕を上げると近づいてきた犯人にボディチェックをされた。防弾チョッキとインカムぐらいしか装着はしていなかったがそのどちらも取り上げられなかった。


 (雑すぎない? 普通、インカム取り上げるでしょう)


 「逃走車両はどこにある?」


 「裏口の前に止めてある」


 「中へ入れ」


 犯人に促されて沙紀は自動扉を抜けて銀行の内部へと入る。入口のATMコーナーを抜けるとそこには犯人である杉浦と椅子に座り身を寄せ合っている男女の姿が確認できた。


 (例の人質の男女ね。行員は…………、カウンター付近で縛られている。報告があった通りね)


 「やっぱりあなたでしたか、杉浦さん」


 「さすがは特異課ですね。こちらの身元は調査済みですか。あなたとはお話したいことがあるので、少しお待ちいただけますか。彼等に報酬を渡さなければいけない。車の鍵をいただけますか」


 杉浦に問われ鍵を手渡す。杉浦は受け取った鍵とジュラルミンケースを彼等へと渡した。すると男達はそのまま裏口へと消えて行った。


 (彼等の仕事はこれで終わりなの?)


 「お待たせいたしました。これでようやくあなたと話すことが出来る」


 終始穏やかな笑みを浮かべる杉浦の目的が自分と話すことだと聞かされた沙紀は戸惑いを覚える。


 (私と話すことが目的? 何それ、それだけの為にわざわざこんな事件を起こしたの? お店で話せばいいだけじゃないの?)




 


 

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