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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File13. 事件発生

 銀行の駐車場に到着すると周辺は、マスコミと野次馬でごった返していた。今回の事件が能力者が起こした事件であると判断されているのでその内彼等も退避命令が出ていなくなるだろう。駐車場の端にテントがいくつも立ち、そこには警察関係者と銀行関係者らしき人々が集まっている。


 「沙紀さん、田丸さん達です!」


 車から降りた沙紀達を見つけた田丸が手を振っている。その後ろでは皐月と鈴木警部が言葉を交わしている。


 「お疲れ様。田丸と皐月ちゃんの装備も持ってきたから着替えて」


 「田丸さん、キーです」


 「おー、助かった。戻る暇がなかったからな。じゃあ、先に俺が着替えてくる。姐さんと鈴木警部が今現状把握中。事件の詳細は二人から聞いてくれ」


 「了解。お疲れ様です。九重、大熊の両名現着しました」


 「さっちゃん、早かったわね」


 「おー、悪いな嬢ちゃんまで呼び出して」


 現場を仕切っていたのは、お馴染みの鈴木警部だった。


 「事件の詳細を教えてください」


 事件の一報が入ったのは、15時手前。銀行が閉まる直前で人が少なくなっていた時間帯だった。負傷者は、警備員2名。直ぐに犯人と行員数名とその時店舗にいた男女数名の人質以外は、外に追い出された。追い出されたお客からの通報で事件が発覚。すぐに所轄警察署から人員が派遣され、交渉に当たりつつ中への侵入を試みようとしたところ見えない壁に阻まれていることが分かった為、特異課へ応援要請が入ったというのが事件の流れだった。


 「皐月ちゃん、結界はどう?」


 「結界を張っているのは相当な実力者ね。こちらからの干渉は一切受け付けない。だから現状の内部の確認が取れない。事件発生時の防犯カメラの映像を管理会社から提供してもらって確認しているところよ」


 「厄介ね。それで彼等の声明は?」


 「あぁ、これだ。負傷した警備員が手に持たされていた」


 紙切れを受け取った沙紀の表情が一瞬曇る。それを見た大祐達も重い溜息が出てしまう。唯一状況が分かっていない鈴木警部だけが首をかしげている。


 「その紙にあるのって例の学園だろう? お前達は何か知っているのか?」


 「最近、私宛にこれと似た文面の手紙が届くのでみんなと事件の再調査を始めたばかりです」


 「手紙?」


 「私なりに彼等の思いには答えようと動きだした矢先の出来事で。犯人の気持ちは理解できるので穏便に事を納められればいいんですけど」


 「そうか。なら犯人の特定を急がないとな」


 犯人の映像分析には少し時間がかかるということなので、皐月は田丸と入れ替わりに装備を整える為に車へと向かった。その間にそれぞれの役割分担を沙紀がふる。田丸と大祐は二人で周囲の探索を沙紀と皐月は避難した行員達の調書を鈴木警部達と一緒に取ることにした。調書を取るなかで犯人は複数犯であることが分かった。銃火器を装備した体格のいい男二人と中肉中背の中年男性が一人。リーダーは、その中年男性らしく銃火器を持った男達に指示を出して人質の選別を行っていた。行員で残されたのは、支店長と二人の男女の行員。その場にいた一般人の若いカップルのみが一般客の中で唯一残されたことが分かった。


 「残された一般人がカップルのみ? もっと人質になりそうなお客はいるのに」


 「そうね、子供とか老人のほうが人質としてはよかったのでは?」


 沙紀と皐月は解放された人々のメンツを確認して疑問に思う。子供や老人など弱い人間を人質に取っていた方がいざという時の保険になるはず。


 「残されたカップルの女性が足を怪我しているのか杖をついていたらしいぞ。それに老人や子供を残しても時間が長引けば荷物になると踏んだじゃないか」


 「つまりいざという時は騒ぎを起こすつもりなのね」


 おそらくこの事件は、突発的に起こされたものではなく計画性を持って立てられていたということだろう。銀行とその周囲に張られている結界を視認しながら皐月は溜息をつく。


 「長丁場になるわね」

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