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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File.4 パトロール<4>

 椿を見送った沙紀は、鈴木警部達の元へと向かう。現場に残っていた人員の被害状況を確認すると、怪我人はなく数台のパトカーが破損した程度ですんだ。沙紀は、椿に心から称賛を送りたいと思った。とっさにあれだけの強度の結界と公園を取り囲むように限定して張るだけの能力と判断力に。


 「さすがあの年齢で当主の右腕なだけある。これならそんなに請求されないかもね」


 「沙紀さん! 大丈夫ですか?」


 「問題ない。警部達は?」


 「鑑識を連れて現場検証に行かれました。自分達は、パトロールに戻るようにと」


 「そうね。あとは本職に任せましょう。事件の詳細はあとで報告書を確認すればいい。どうせ事件は、秘匿扱いになるだろうし」


 沙紀達はその場に残っていた警官に挨拶すると、自分達の車へと向かう。沙紀の後方を歩いていると大祐は、その後ろ姿に何か違和感を覚える。違和感の正体を確認しようとよくよく注意して観察すると、沙紀の髪の組紐がいつもよりくすんで見える。


 (何だろう? いつもはもう少しキラキラしている気がするのに)


 「沙紀さん。組紐なんですけど、さっきの騒ぎで土煙でも浴びましたか?」


 「え? そんなはずないけど」


 沙紀は大祐の指摘に慌てて組紐を髪から外して確認する。手に取るといつも通りの組紐だ。


 「ちょっと、どこも汚れてないじゃない」


 「え? そんな事ないですよ! 絶対にいつもよりキラキラ感が足りません!」


 「キラキラ感? 何よ、それ」


 大祐の指摘にもう一度見てみるが、特に汚れてもいない。大祐のキラキラ感というのがよく理解できないが、自分にはいつもと同じに見える。


 「いつもと変わらない。ビルの影でくすんで見えるんじゃないの?」


 「えぇ? 明らかにいつも違いますけど」


 沙紀は大祐の不満げな声と表情に、思わず笑ってしまう。ただ、彼にだけそう見えるというなら彼の能力に関係するのかもしれない。そんな事を考えつつ沙紀が組紐をいつものように髪に縛り直すと、そこへ彼女が再び現れた。


 「九重刑事。もう帰られるのですか?」


 「えぇ、パトロールに戻るわ。…………人員回収は出来たようね。救急車は必要?」


 椿から少し離れたところにいる少年が気を失った少年をおんぶしており、その側には同じ年頃の少女が立っている。そして更にその後方には、着物姿の二人の青年の姿が薄っすらと見えた。


 「人外?」


 「彼等は我々一族の相棒です。もちろん、私にも同じような存在がおります。人型を取れる彼等は特別ですが」


 「そうなの。今は姿を消しているんでしょうけど、実体を晒すなら服装は現代に合わせたほうがいいと思う。あの着物姿だと明らかに周囲と浮く」


 「さすが、九重刑事。姿を隠している彼等を視認出来るとは、お見事です」


 「そうだ。どうせ報告書は黒塗りまみれになるでしょうけど、なるべく必要項目は残してちょうだい。他の事件との関連性とか調べにくくなるから」


 「善処いたします。そう言えば最近は、立てこもり事件など多いようなのでお気を付けください」


 「大丈夫よ。これでも警察官よ、早々簡単にやられない。逆にあのお子様達にこの街で暮らす上での注意事項を叩きこんでおいて。とくにあのおんぶをしている少年にね。…………揺らしたのは彼でしょ?」


 「気づかれましたか?」


 「今回は微弱でそもそも犯人の力で色々飛んでいたから、誤魔化されているけどね。出来ることなら彼には普段から腕輪を着けてもらいたい」


 「こちらも善処いたします。それでは、また」


 沙紀の指摘に頭を下げると椿は彼等の元へ戻って行った。彼女が合流すると一瞬大きな風が吹く。その風で飛んでくる土煙から沙紀達は、とっさに腕で目をかばう。その風が収まるとそこに彼等の姿はなかった。


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