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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File.4 パトロール<3>

 椿は現場である公園に視線をやると重々しく溜息をつく。本当に苛立っているようで腕時計で時間を確認しつつ合間にどこかへ連絡を取っている。沙紀達もこれ以上介入は出来ないと判断し、現場の他の警察官や消防隊を更に後方に下がらせた。


 「珍しいですね、あなたがそんなに苛立つなんて」


 沙紀の言葉に我に返ったのか椿は、苦笑する。


 「彼等は、里からでたばかりの現場を知らない子供です。もちろん、いきなり現場に投入している私達もひどいとは思います。しかし、今回投入したのはそれぞれの一族の跡取りです。この程度の騒ぎを収めるのに時間がかかりすぎです」


 「ふーん、けっこう厳しいのね。でもあなたの言う通り子供なら仕方ないでしょ? まだ覚悟がないのよ。人の命を絶つね」


 「沙紀さん。人の命を絶つ覚悟なんて普通の子供は持ちませんし、本来なら持たせては駄目です」


 大祐の指摘にそれはそうかと沙紀は思い直す。自分達だって犯人の命を絶つなんてことは、最終手段だ。


 「大熊刑事はお優しいですね。確かに普通の人間ならそれでいいでしょう。しかし、我々は一族に課せられた使命を全うする義務がある。その義務を全うする為には、絶対に命を落としてはいけません。対象の命と自分の命を天秤にかけた時に必ず自分の命が優先です。それが出来ないならただの無駄死にです」


 椿の言葉に大祐は言葉を失う。無駄死にだと言い切った彼女の目には、人の死を身近に見てきた者の覚悟が見えた。


 「人の命を背負う覚悟なんて回数をこなさないと身に着かないわよ。もうちょっと長く見てあげたら? あなただってそうだったはずよ」


 「私と彼等とでは育った環境が違います。それに九重刑事も同じ年齢から覚悟を持って職務を全うされている。…………だからこそ彼等が甘く見えてしまうのかもしれませんね」


 椿の言葉に今度は沙紀が首を振ると乾いた笑い声をあげる。自分を判断基準にするなんてことは、大間違いだ。


 「私という存在はイレギュラーだから、私を判断基準にしては駄目よ。それに関しては彼等があまりに気の毒」


 「イレギュラーですか?」


 「演習に出かけて自分達以外の人間が殺されてるなんて経験、普通の人間はしないわよ」


 沙紀の言葉に何か思い当たることがあったのか椿は頭を下げて謝罪する。


 「申し訳ありません」


 「別に謝る必要はないわよ。まぁ、私にも言えることだけど人を育てるってそう簡単にはいかない。何を判断基準にするかは相手のレベルを見て正しく設定しないと駄目」


 そう言うと沙紀は大祐をチラッと見る。その視線に大祐は誤魔化すようにわざとらしく笑うと状況を確認してくると走って行った。


 「お互い大変ですね…………伏せてください!!」


 椿の声に沙紀は反射的に頭を守るようにして地面に伏せる。椿は叫ぶと同時に現場である公園に強力な結界を張る。その結界のおかげで現場から発生した爆風から沙紀達は、身を守ることが出来た。ただ、爆風で舞い上がった車やら公園の遊具やらが結界にぶつかって落下していく様子が確認出来た。


 「あーあ、随分と派手にやってくれたわね。これは、大分請求させていただくことになるけど」


 「我ら一族が責任を持って原状復帰させます。一旦、現場から人員を引き上げて参ります」


 そう言い残すと椿は、一目散に公園に向かって駆けて行った。

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