表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

61/162

File.2 手紙<1>

 「よぉ、今日も失敗か?」


 部屋に入るなりニヤニヤしながら近づいてくる田丸に、大祐は大きな溜息をつく。絶対にこの人は自分の失敗を面白がっている。


 「失敗しました」


 「よっしゃー! さっちゃん、俺の勝ちな!」


 「はいはい。今日こそは、勝てると思ったんだけど」


 このところ沙紀と田丸は、大祐の訓練結果で賭けをすることを楽しみとし始めている。かなり悔しいのだが、いつまでも成功出来ない自分が悪いと大祐は、グッと怒りをこらえる。


 「二人とも大祐君で遊ばないの。あんまり遊んだら精度が落ちるでしょ?」


 皐月のフォローなのかそうじゃないのか分からない発言に大祐は項垂れると、人数分のコーヒーを入れに向かう。その姿を見て三人は楽しそうに笑っている。


 「あ、皐月ちゃん。私の机の上にある封筒って何?」


 「さっちゃん宛に届いたの。とりあえず、危険物は検出されなかったから置いておいたわ」


 「ふーん、何だろう?」


 封筒の表面には、ここの住所と自分の名前が記載されている。裏面には、差出人の記載があるはずだが何も記載されていない。いたずらかもしれないし、過去の事件関係の手紙の可能性もある。


 「心当たりがないなら処分しても…………」


 「まぁ、暇な時にでも目を通しておく」


 沙紀は手紙をデスクの引き出しの中へしまうと、他に来ているダイレクトメールをシュレッダーへかけた。


 「みんな、お疲れ様。沙紀君と田丸君は、事件解決ご苦労様でした」


 警視庁に呼び出されて多少くたびれ気味の課長に声をかけられると逆にお疲れ様ですと皆言いたくなる。沙紀は、朝から会議で呼び出しを受けていた課長に大祐が入れたコーヒーを手渡す。


 「どうぞ。例の件は、決まりですか?」


 「あぁ、日中のパトロールを我々も手伝うということで話がついたよ」


 「俺らがパトロールねぇ」


 「とりあえず、沙紀君と大祐君。田丸君と藤田さんの組み合わせで交代でパトロールを行うことにする。簡単な現場は、他の面々に回すことで訓練とする。非常勤捜査官の質の悪さも問題になっていてね」


 「奴らは、紙一重だからなぁ。態度も悪いだろうし、現場の警察官とは合わないだろう」


 この特異課には、協力者として非常勤の能力者がいる。彼等は訓練を義務付けられているが、事件捜査に関しては、その能力が必要とされた時だけ呼び出しを受ける。元々、犯罪を犯した人間が大半で素行はあまりよろしくない。以前、地下の訓練施設で沙紀に対して暴言を吐いていた彼等がそれに当たる。


 「彼等の服役作業替わりなんだから、その分はしっかりと働いてもらわないと困るわ。じゃないと外に出している意味がないもの」


 皐月の言葉に皆一様に大きく頷く。


 「じゃあ、午前と午後で三時間づつ交代でパトロールに出ましょう。課長、パトロールの範囲は?」


 「都内全域と言いたいところだけど、この事務所から車で一時間圏内の区域で手を打ってもらった。大きい事件が起きた時に直ぐに対応出来るようにね」


 「了解です。大熊、地図を出して。皐月ちゃんは、当番表を作ってくれる?」


 「俺は?」


 「田丸は、とりあえず今日の事件の報告書と器物破損の始末書提出」


 「げっ…………」


 「何、また何か壊したの?」


 「うん、現場近くに停車していた車を数台ね」


 「…………了解」


 書類作成が苦手な田丸は、嫌そうにデスクに向かい作業を始めた。


 「そう言えば最近、立てこもりやら精神異常者が起こした暴力事件やらが多いですね」


 話題を変えようと大祐は、最近頻発する事件に対しての疑問を投げかける。


 「そうね、立てこもりは組織同士の縄張り争いが発展した事件が多い。ただ、精神異常者の事件に関しては謎だらけ。犯人達の年齢・性別・職種などはバラバラ、事件が起きる前後の言動や行動も特に問題はなかったらしいし。共通することと言えば、犯人は既に正気を失っていて、正気を取り戻すことは出来ないってくらい」


 何か薬物を使用していたとしたら、薬物検査で何かしら反応が出るはずだが全く出ていない。そもそも事件を起こした犯人は、暴力とは全く無縁の大人しい普通の人々らしい。


 「まぁ、今回のパトロールで似たような事件に遭遇すれば私達なら分かることがあるかもしれない」


 「さっちゃんは、能力者が事件に関与していると考えているの?」


 「可能性としてはあると思う。これだけ事件が頻発するなら」


 「じゃあパトロール中は、要注意ね。大祐君、事件の詳細情報を特異研に請求しておいて」


 「了解です」


 パトロールの準備を二人に任せた沙紀は、先ほどの封筒にハサミを入れて中から手紙を取り出す。そこに書かれた言葉を見て眉をひそめると直ぐに手紙をデスクへしまった。


 「まだ、諦めていないのね」


 

 


 



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ