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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.28 作戦の終わり

 事件解決後、現場検証を済ませた特異課の面々は、臨時で本部にしていた特異研の会議室へと戻ってきた後、それぞれの仕事に追われていた。沙紀と犯人の少女は、特異研の病院へと収容されて治療を受けており、皐月はそちらの付き添い。課長と警部は、捕まえた組織の人間達の聴取を行っており、不在。田丸と大祐の二人は、報告書の作成に追われていた。


 その中の資料に実行犯の男の供述調書があった。少女と一緒にいた男は、大人しく取り調べを受けており、その供述の中で今回の事件の発端は、自分であること。二人は、ただ自分に利用された子供であることを主張している。


 「あの男は、社会に放り出された能力者の子供達を使って副業で便利屋をしていたらしい。表向きは、空調会社のおっさんなんだが、そこの社長がお人好しでよく子供を拾ってくるんだと。そいつらの生活費を稼ぐには、表の仕事だけじゃ足りなくて、副業を始めたと」


 「子供って、能力者の子供はホームに引き取られるのでは?」


 「事情があって無戸籍の子供もいるだろ。その中にも能力者は、生まれる。福祉でどうにか拾い上げられればいいだろうけどな、ある程度デカくなってから能力が覚醒する奴らもいるから。どこの部署も人手不足だからな。そんな中、あゆみちゃんの兄貴達も拾われた。空調会社で働きながら、チビ達に能力の使い方とか教えていたらしい」


 「犯罪組織に直接入ってたわけじゃないんですね」


 「あぁ、たまたま最初の爆破未遂事件の事前調査の仕事を引き受けたらしい。今回の船の構造とかのな。まぁ、表の仕事のついでに稼げれば楽だと思ったのが、運の尽きだったと」


 「どうなるんでしょうね」


 「あのビルの火災については、被疑者死亡で終わり。そもそも火災自体は、能力を使用してのものだから裁きようがない。あのおっさんと少女は、建造物侵入罪とかだろう。事情も事情だから国がどうにかするだろう」


 現状、能力を使用した犯罪については立証が難しい為、彼等を裁く為の法整備が整っていない。さすがに殺人をおかした人間に関しては、特殊な施設に入所という形になるが軽犯罪に関しては能力以外で起こした罪で裁くしかない状況である。


 「法整備がまだまだ足りないってことですね」


 「あぁ、あと専用の刑務所とかな。能力者を入れるってことは、そこで働く奴も能力者がいないと危険だしな。全ての社会的整備が終わるなんて、俺らがじじいになる頃か死んだ後だろう」


 「まだまだ、道半ばか。田丸さん、ここ間違ってます」


 「くそ。そもそも俺は、報告書作成が苦手なんだよ。お前の方が出来るってどういうことだ」


 「沙紀さんがくれた手引き書があるので」


 「姐さん、早く戻ってきてくれ…………」


 「沙紀さん達、早く目覚めるといいんですけど」


 「犯人の子は、数日はかかるかもな。あの腕輪は、本来さっちゃん並みの能力がある人間用だからな。さっちゃんは、さっちゃんでこの連日の能力の暴走で体に負担かかってるから強制入院だろう」


 「じゃあ、自分らで頑張るしかないですね。さぁ、ちゃっちゃとやりますよ」


 大祐に促され、田丸は文句を言いながらも報告書の訂正を始める。大祐も各所から上がってくる報告を精査してまとめる業務を続け、一旦解放されたのは翌朝だった。

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