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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.27 潜入作戦<8>

 しばらくすると男の携帯に誰かから電話がかかってきた。おそらく今回の事件の首謀者達だろう。警部の話では、彼等が組織のアジトを出発した後に黒塗りの高級車が数台乗り付けてきたらしい。自分達は、安全な場所から高みの見物をする。こういう事案では、よくあることだ。但し、今回はそうはいかないが。


 『組織に潜入してる奴からの報告だ。今さっき、今回の見物に参加するメンバーが揃ったらしい。とりあえず、こっちは順次フロアの制圧して行くぞ。出入口は、表も裏も固めてあるからよ』


 『お願いします。こちらも動きがあり次第、動きます』


 沙紀は一緒にいた田丸と二手に分かれて、それぞれの仕事に取り掛かりやすい場所へと移動していく。実行役の彼女は、オイルを浸した綿をセットし最後はライターを思い切り踏み抜き壊す。安い量産品のライターは、簡単に壊れてしまう。そして指示が出るの待つ為にその場にしゃがみ込んでしまう。項垂れて地面を見つめる彼女の表情は分からない。ただ、気になる点が一つだけあった。


 (あれは、何? 彼女から薄っすらと黒いもやのようなものが発生している)


 『田丸。あの子から黒いもやみたいなのが見えるんだけど、あなたには分かる?』


 『黒いもや? いや、俺には見えない。姐さんなら見えるかもしれないが』


 『気のせいかしら? 彼女の胸元から時折、薄っすらと出ているのよね』


 彼女の胸元をもう一度見てみると、確かに黒いもやが発生している。彼女自身も特に気にしている様子もない。もしかしたら、彼女にも見えていないのかもしれない。


 (ちょっと嫌な感じがするけど、今はいいか)


 電話が終わったのか、男が彼女の元へと近づいてきた。手には携帯端末を持っており、彼女へカメラを向けているようだ。


 「おい、時間だ。お客様がショーの開演をお望みだ」


 「…………趣味が悪い」


 「まぁ、お偉方はこういうのが好きなんだよ。じゃあ、やれ」


 「分かった」


 彼女は意識を集中させる為か、目を閉じた。その直後に、場の空気が変わりだんだんと部屋の温度が上がってきた。


 『皐月ちゃん、結界発動して』


 『了解。…………発動完了』


 皐月が結界を発動すると同時に上がって温度が下がっていく。その直後、彼女は自分に起きた変化に戸惑い目を開く。


 「え、何で…………」


 「おい! どうした!」


 「力が使えない!!」


 彼女の悲鳴にも似た声に男は、慌てて端末を懐へしまう。それと同時に沙紀は、合図を出す。


 『確保』


 田丸は、男の後ろへ回ると背後から羽交い締めにして床へ押さえつける。それと同時に大祐も跳ね起き、彼女を取り押さえた。彼女は、力が使えないことに対して混乱しているようであっけなく捕縛が完了する。


 「制圧完了。課長、避難誘導はどうですか?」


 『順調に進んでいるよ。みんな、事前説明を守って速やかな退避がなされている』


 「了解です。警部の方はどうですか?」


 『おぉ! 絶賛、捕縛中だ! でも、大体抑えたからこっちもすぐに終わる』


 「了解です。では、こちらも彼女達を連れて上へ上がります。田丸、大熊。行くわよ」


 沙紀の言葉にそれぞれ犯人に手錠をかけた二人は、犯人に声をかけて立ち上がらせる。男の方は、抵抗もせずに大人しく従っている。


 「噂の特異課の面々か。そりゃ、俺らごときじゃどうにもならないか。おかしいな、まだ事件には気づいてないはずだが」


 「あれだけ立て続けに不審火による火事が起これば、私達も速やかに動きます。それにあなたですよね?彼の遺体に腕輪をつけたの。わざとらしく指紋が付いていたと報告が上がったので、乗船時に指紋を取らせていただきました」


 「元は俺が変な依頼を受けちまったせいだからよ。せめて家族の元へ帰してやらないとと思ってよ」


 「その辺の事情は、あとで事情聴取をさせていただきます。田丸、連れていって」


 男は田丸に連れられて大人しく出口へと向かって行く。大祐の様子を確認しようと彼女へ目を向けると床にへたり込んだまま動かない。そんな彼女へ必死に声をかけているようだ。


 「…………しょうがないわね」


 沙紀は、大祐と彼女の元へ足を向けた。その瞬間、彼女の胸元の黒いもやが勢いをまして大祐を吹き飛ばす。壁に打ち付けられた大祐は、今度こそ意識を失ったようだ。


 「何だ? あのもや…………、急に俺にも視認出来るレベルになった。やばいぞ、あれ」


 「田丸、その男を連れて今すぐ退避! 皐月ちゃんは、この部屋を結界で誰も入れないようにして!」


 「さっちゃんは、どうするんだ?」


 「私が抑え込むしかないでしょ! 何とか彼女の意識を落とす」


 「じゃあ、これを使え! 特別性の腕輪だ! あと、あのバカの回収も頼んだ」


 「了解」


 




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