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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.27 潜入作戦<6>

 乗船入口のタラップ付近に近づくと親子に装った沙紀と課長の姿が目に入った。入口付近の受付のスタッフに紛れ込み仕事を行いつつ周囲に目を配る。しばらくすると船外を双眼鏡で確認していた沙紀が、すっと片手を上げた。


 『犯人が乗ったと思われる車が駐車場に入ったわ』


 不自然にならないようにそちらへ視線を向けると帽子を深く被った作業員らしき、2人組が車から降りてこちらへと近づいてきた。車には、このクルーズ船の施設管理を行う作業業社の名前が入っている。


 『おそらく最下層の施設管理区域で、爆破を起こすつもりかしらね。田丸と皐月ちゃんは、管理区域に待機。大熊は、案内係として彼等に同行して。私もその後を追う』


 『施設管理区域には、事前に結界の仕掛けはしてあるから安心して。合図と共に能力封じの結界を張るから。それと同時にさっちゃんと大祐君、田丸は、制圧に移行してちょうだい。合図はさっちゃんにお任せするわ』


 『了解。課長は、皐月ちゃんが結界を張ったと同時に乗員・乗客の避難誘導をお願いします。理由は、管理区域で火災発生という名目で始めてください。もし、船内に組織の人間がいたらそれで始まったと判断するでしょうから』


 『了解。じゃあ、みんな気を付けて』


 沙紀と課長は、連れ立ってタラップから式典会場方向へ姿を消していく。しばらくすると、作業員が受付へと姿を現した。


 「お疲れ様です。空調設備に不具合があったということで、点検に参りました」


 「ご苦労様です。身分書の確認とそちらで手荷物検査と金属探知検査をお願いいたします」


 「随分厳重なんですね」


 作業員の男の言葉に大祐は、苦笑する。そして、声を潜めて説明する。


 「ほら、前回の騒ぎがあったでしょう? 上からのお達しなんですよ、乗員・乗客全てを対象に検査をしろって」


 「あぁ、あれか。迷惑なこった。はい、社員証。ほら、お前も出せ」


 「はっ、はい。お願いします」


 二人から社員証を預かり、スキャンを行う。確かに正式な社員証だ。


 「女性が作業員なんて珍しいですね」


 「どこも人手不足なんですよ。それにこいつは手先が器用だから、大事に育ててる途中なんですよ」


 「どこも大変ですね。次はそこで手荷物検査をお願いします。全て終わったら、私が管理区域までご案内しますので」


 「いや、この船には何度か出入りしてますので、案内は不要です」


 「これも今日の決まりなんですよ。私も上からの命令なので。一般公開していないエリアに社外の人間が入る場合は、誰であろうと社員が連れそうことって」


 「ご苦労さんです」


 「さぁ、検査も手早く終わらせてしまいましょう」


 大祐の案内に二人は、大人しく着いてくる。だが、若干男は苛立っているようだ。おそらく警備の厳重さが聞いていた内容と違うのだろう。女性は、特に動揺している素振りはない。


 「はい、検査終了です。申し訳ないですけど、一点こちらでお預かりさせてもらいますね」


 「えぇ、仕事道具ぐらいしかないだろう!」


 「お預かりの物はこれです。私が預かって船から出る時にお返しします」


 大祐は、男の荷物からライターと煙草を取り上げる。


 「すみません。一応、管理区域は火気厳禁なもので。これがないと落ち着かないのは私も分かります。ただ、決まりなので。管理区域から出たらすぐにお渡ししますから」


 「…………終わったらすぐに返してくれよ」


 「もちろんです。さぁ、ご案内します」


 大祐と作業員達が管理区域への入口へ向かうとすぐに沙紀が姿を現して、三人の後を追って行く。


 『ターゲットが、管理区域へ向かったわ。私も後を追う。空調設備の施設区域に入ったら、おそらく襲われるだろうから、上手い具合にやられた振りをするのよ』


 『大祐が襲われた後、さっちゃんと合流後に俺が道を開いて侵入する。さっちゃんの合図が出るまで大人しく転がっておけよ』




 

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