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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.27 潜入作戦<5>

 甲板の式典会場に着くとそこには、今回の作戦に協力してくれている親子と警察関係者で人が溢れかえっていた。その中の会場警備担当者へ警護を引き継ぐと大祐は、会場を離れた。


 『会場の警備班にあゆみちゃん家族の警護を引き継ぎました』


 『了解。まだ、ターゲットの車は到着していないから入口の入場スタッフに紛れ込んで』


 『了解です』


 甲板から乗降口へ向かいつつ、周囲の様子を伺うが特にこれといった不審者は見当たらない。そう思った時だった。船内へ向かう入口で一人の男性とすれ違う。中肉中背の男性でこれといった特徴もないどこにでもいる人間のはず。しかし、何かが気になった大祐は、声をかけた。


 「お客様、そろそろ式典が始まりますので移動を。お子様の姿がないようですが…………」


 今回、乗船する際に親子連れには青いリボンを配布しており、それを洋服へ安全ピンで留めてもらっている。男のジャケットの胸ポケットにも同じリボンが付いているが、近くに子供の姿がない。他にも子供を連れていない警察関係者には、赤いリボン、クルーズ会社の関係者には、黄色いリボンという風に色わけをしている。


 「子供達が先へ行ってしまって。すみません、この人混みですので会場で合流したほうが早いかと。会場はこの先の甲板でいいんですよね?」


 「そうだったんですね。よろしければ船内アナウンスをおかけしますので、お名前を教えてください」


 「困ったな。娘に怒られる……。船内アナウンスで迷子放送なんて恥ずかしいって」


 男性は、困ったなぁと言いながらどうしようかなと独り言をつぶやいている。どこにでもいる父親という感じなので、珍しく自分の勘が外れたかもしれないと大祐が思い始めた時に後方から女の子の声が響いた。


 「お父さん! 何してるの? お母さん達も先に行っているよ!」


 後ろを振り返ると童顔の中学生ぐらいの少女が声を張り上げて手を振っている。


 「あぁ、娘です。ご心配をおかけしました。アナウンスは大丈夫です。下の子との思い出作りをかねてましたので、また娘に怒られる」


 下の子との思い出作りという言葉に、彼等もまた新しい家族を迎える立場なのだと理解する。


 「見つかったのなら安心しですね。早く、合流してあげてください。それでは失礼します」


 男性は、ホッとした顔でペコリと頭を下げると速足で娘さんに合流していった。何やら娘さんに怒られているようだ。娘さんもこちらに気づいたのかお辞儀をしてくれた。


 (仲の良い親子じゃないか。さぁ、入口へ向かうか)


 大祐が船内へ姿を消すのを見た親子は、それまで浮かべていた笑顔を消す。


 「何をしているんですか。疑われるなんて」


 「いいえ、とくに不審な行動はしていないんですが。彼は随分と勘が働くんですね」


 「まぁ、警察関係者にしては能力があるほうでは。我々の目的は彼女の能力の確認のみです」


 「もちろん、分かっていますよ。その為にも見物させていただきましょう」



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