File.27 潜入作戦<4>
「まずは、作戦概要。彼女が船に潜入して爆破を起こそうとすると同時に鈴木警部達は組織へのガサ入れを行う。これは、二課との合同捜査です。同時に我々は藤田君が能力封じの術を彼女へかけて、沙紀君と大祐君と二人で彼女を制圧。田丸君は、彼女と一緒に来るであろう見張り役を制圧。加害者を負傷させようが、多少船舶を破壊しようが確実に制圧すること。説明は以上です。質問があればどうぞ」
課長の概要説明を聞いて、大祐以外の人間は当然とばかりに頷いている。しかし、本格的な作戦に初参加の大祐は、本当にいいのかなと思っていた。
「ちなみに破壊等の度合いは…………」
大祐の問いに対して九重は、にっこりと笑って言った。
「犯人と船舶に乗り込む人々の安全さえ確保出来れば、船一隻沈めてもかまいませんよ。犯人も抵抗するようであれば、身動き取れないように骨の数本でしたら折ってもらっても問題なしです」
「りょ、了解です」
大祐の返事を聞くと課長は、当日の役割を振っていく。大祐は、船の従業員を装いながらあゆみちゃん親子の警護。田丸と皐月は、同じく従業員として船舶の巡回と見張り。沙紀は、課長と親子を装いながら入口付近で彼女達が乗船するのを確認。その後は、課長の指示に従い彼女達を囲んでいくという流れだ。乗客に関しては、彼等が乗船すると同時に甲板で行われる式典会場に集めて安全を確保する予定だ。
「どうしたの? 緊張してる?」
「沙紀さん。まぁ、本格的な作戦は初めてなので。それにいつもの課長と様子が違うので驚いてます」
「課長だって刑事よ。特に今回のような事件の時は、手段を選ばない。本庁の二課に戻ってきてくれって毎年オファーがあるけど、本人は自分には向かないですっていいながら断っているくらい、すごいらしい」
「そうなんですね。でも、負傷させても船舶壊しても大丈夫ってどれだけの被害を想定されているんですかね」
「最悪の場合、船舶の爆破くらいは想定しているでしょうね。一応、皐月ちゃんの術で犯人の能力を封じる予定だけど、あくまで予定だからね。彼女は、確実に止められるでしょうけど一緒に来るであろう組織の人間が何をするかが全く分からない。乗船時に金属探知とかするから拳銃等の持ち込みは防げるでしょうけど。能力者だと何してくるか分からないでしょ?」
「確かに。その場合は、最悪船舶の火災・爆破までいきますね。クルーズ会社は、泣きますね」
「あぁ、仕方ないわ。後追いの捜査で分かったけど、クルーズ会社のお偉方も例の養子縁組に関わっていたらしいから。船の一隻でそれを見逃すなら安いもんでしょ」
「かなりの痛手だと思いますけどね」
そんなやり取りを経て、作戦当日になったのだが、朝から緊張のし過ぎで胃が痛い。
『おい、ターゲットがアジトを出発した。白いバンで作業服を着ているな。あれは、船のメンテナンス担当の作業服だな』
『了解です。課長と入口を見張ります。人数はどうですか?』
『彼女ともう一人男がいる。四十代後半ぐらいか。腕輪は、着けてないな』
『了解です。乗り込む際の身分証をスキャンすると同時に身元の特定をさせます』
『踏み込む準備は出来ているから、あとは合図をくれ』
『了解です。みんな、それぞれ動いて。一般の警察官は、お客様を甲板に誘導して。大熊は、あゆみちゃん達が会場に入り次第、私と合流して』
『了解』
各担当達の了解という声と共にいよいよ作戦が動き出す。大祐も船内アナウンスで式典会場に移動するあゆみ達の後を尾行しながら移動を開始した。
(さぁ、作戦開始だ)




