File.27 潜入作戦<3>
「そうね。こればかりは、試行錯誤を繰り返すしかないのかしらね。じゃあ、戻って作戦を詰めましょうか?」
車が見えなくなると二人は、研究所内へ戻った。大体の事件の概要は分かったが、問題はこれをどう解決するかだ。子供達の人身売買を行っているブローカーに関しては、鈴木警部達のおかげで判明している。同時に彼等が何処の組織に繋がっているのかも。
(さすがの捜査力よね。私達だけじゃ、この短期間じゃ無理だわ)
皐月は、今回の件で改めて鈴木警部とその部下達の捜査力に脱帽した。もちろん、佐々木判事が裏から手を回して令状を出しやすくしてくれいるというサポートもあるが。そんなことを考えながら廊下を進んでいると、一緒にいたはずの沙紀の気配が消えた。慌てて振り返ると途中で立ち止まって何か考えこんでいる。
「さっちゃん、どうしたの?」
「…………犯人は分かっているけど、本当に彼等だけなのかな?」
「どういうこと?」
「何か色々と順調すぎる気もする。ただ、こればかりは、完全に勘だから証拠も証言も何もない」
「蜥蜴のしっぽ切ってこと? まぁ、これだけ大掛かりな犯罪だしそれもあり得ると思うわ。それでも私達は目の前の事件を解決していくしかないわ」
「そう……だよね。とりあえず、これ以上彼等の様な被害者を出さないように一つづつ潰すしかないか」
「えぇ、行きましょう」
皐月に促され、沙紀は他の面々がいる会議室へ戻った。
その頃、会議室では捜査資料を眺めながら課長と警部が作戦概要を詰めていた。今回の事件は速やかな解決と事件に関わった人間の取り逃しは許されない状況である。
「やっぱり、船での作戦と同時に組織へとガサ入れかな?」
「それしかないだろうな。まぁ、今回は二課も協力してくれるから人員は確保出来ている。ブローカーとそれに協力する組織を一網打尽だな」
「そうすると、問題は彼女をどう保護するか」
「彼女がいる組織には何人か警察のエスがいる。彼等の話では当日は、例のブローカー一味と遠隔で見物するらしい。まぁ、一種の踏み絵だな。あの子は、作戦を成功させないと次がないと言われている」
「勝手に彼女の未来がないものとされては困りますね。彼女には更生の道が残されています、なので絶対に潰します」
九重の平坦な感情を押し殺した声に、鈴木は若干顔色を悪くする。昔からこうなったら、九重は絶対に引かない。どんな手段を取ろうが確実に犯罪組織を壊滅に追い込む。
「お疲れ様です。戻りました」
「やぁ、二人ともご苦労様です。早速、作戦会議をしますので田丸君達を呼んできてください」
「了解です」
上司のただならぬ気配を感じたのか皐月と沙紀はそそくさと二人の元へと駆け寄って行った。そうして、今回の作戦が速やかに立てられていったのだった。




