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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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43/162

File.25 それぞれの夜<2>

 「よく眠ってますね」


 「そうだね。怪我もないようだし、本当によかった」


 病室のベッドで穏やかな寝息をたてて眠る沙紀の姿を見て、皐月と九重はホッと安堵の溜息をもらす。最近はなかった能力の暴走が起きた時は内心驚いたが、人的被害を起こすことなく収束することができた。


 「表向きは煙草の火が原因の火事で決着がついたよ。まぁ、運よく鎮火が速かったからね」


 「そうですね。ただ、一つ気になることが」


 「気になること?」


 「はい。炎が赤かったんです。さっちゃんの起こす火は、青いはずなのに」


 「それは、沙紀君の火で誘発された他の火元が燃え広がったからだと思うよ。あの公園もよく整備されてるけど割とポイ捨ても多いと聞くし。特にバーベキューが出来る区域で色々とね」


 「あー、そんな区域もありましたね。なら、私達が見た燃え広がった炎はそれが原因の可能性が高いですね。検証班に伝えておきます」


 「頼むよ。私は沙紀君が目覚めるまでここにいるから、藤田君と田丸君で捜査の続きをお願いします」


 「了解しました。失礼します」


 皐月が病室を出ていくと九重は、ベッドの横にある丸椅子に腰を降ろす。すると、沙紀の左手が何かを探すように動いているのが目に入った。小さい頃の癖が久しぶりに出ているのを見て、懐かしさがこみ上げてきた。それと同時にもう今はいない彼女の相棒を探す姿に、寂しさと切なさを感じる。


 「懐かしいな。大きくなってからは、収まっていたのに」


 「新たな犬が現れて思い出しているのだろう。ただ、あの犬とは違い少々心許ないがな」


 「おや、姿を見せて頂けるとは思いませんでしたよ」


 突然自分の背後に現れた女性に対して驚くこともなく、九重は言葉を返す。振り返るとそこには巫女装束に似た姿の女性が立っていた。その後方には相方の男性の姿もあるがこちらは陰になり姿はよく確認できない。


 「同年代の少年の死から誘発されて、鍵が外れかかっていたからな。おかげで力も漏れ出していたから、早急に始末をつける必要があったのだ」


 「困りましたね。彼等は気づいてしまいましたかね?」


 「直ぐに結界で閉じ込めた故、気づいていないと願いたいが。こればかりは、奴らの動きを注視しておくしかあるまい」


 「そうですね。最近、あの方々も動きがあるようですからね。ただ、旧友の娘の平穏を乱す虫は始末しないといけません。こちらでも守りを固めます。彼等の争いに巻き込まれるわけにはいかない。保護出来ているのは、一人だけですから」


 「…………そうか。なかなか見つからないものだな。我らも警戒を強めてはおく。ただ、目覚めの時は近いのかもしれない。お主も気をつけろよ。そなた達にまで何かあったら今度こそ、この子はもたん」


 「もちろんです。それに良い相棒も出来ましたから、これからの成長が楽しみです」


 「あの犬に過度な期待はするなよ。まだまだ、ひよっこだからな」


 そう言い残すと二人の男女は病室から姿を消した。


 「おや、大熊君は気に入られたか。珍しいこともある。ただ少々気の毒だな。あの方々に気に入られるなんて」


 今回の作戦を成功させた新人の青年を思い出しながら、九重は笑った。

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