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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.24 祈り

 「大祐君! こっちよ!」


 女性が開いてくれた道の先は、公園の各入口を繋ぐメインストリートにつながっていた。そこに足を踏み入れた瞬間、大祐を呼ぶ皐月の声が響いた。皐月の後ろには、ストレッチャーを運んできた救急隊員の姿もあった。彼等が持ってきたストレッチャーに沙紀の体を横たわらせると彼等に処置を引き継いだ。


 「九重刑事は、このまま特異研に運びます。どなたか一緒に行かれますか?」


 「私達は、このまま後処理で残るわ。大祐君、あなたが着いて行ってちょうだい。あなたも手当が必要だわ」


 「自分は特に怪我してませんが?」


 「けっこう火傷してるわよ。今はアドレナリンが出て痛みを感じてないんでしょうけど。隊員さん、彼もお願いします」


 「了解です。さぁ、一緒に来てください。あなたの火傷も確認させていただきます」


 「了解しました」


 救急隊員に促され、大祐と沙紀は救急車へと向かって行った。その姿を見送った皐月は、すぐに燃え盛る炎へと目を向けると救急隊員と入れ替わりに現れた消防隊員に現場を引き継ぐ。そして、彼等から少し離れた邪魔にならない位置で消火を見守る。


 (それにしても鎮火が早すぎないかしら?)


 結界が開いた瞬間から消火活動を開始したとはいえ、火事の中心地であるはずのここもあっという間に鎮火されていく。そのスピードに若干違和感を感じるが、消防隊の手際と言われればそれまでだ。


 「姐さん、あっちの消火は終わったぜ。ただ、何かあっけないよな?」


 「えぇ、結界の外から確認した時は、中心地に近づくに連れてもっと燃え盛ってた気がするんだけど。まぁ、普通の火ではなくさっちゃんの能力から生まれた火だからと言われればそうかと思うしかないけど。あとは現場検証をして報告書を作るしかないわね」


 皐月と同様に鎮火のスピードに違和感を感じていた田丸もその違和感の正体に答えは出ないようだった。


 「さぁ、後処理を終えたら私達も特異研に向かいましょう」

 

 「そうだな。作戦をやり遂げた忠犬君も褒めてやらないと。大祐の能力も開花するといいが」


 「私は逆に今の状態が彼のベストだと思うわ。彼の能力は開花すべきではない、彼自身の安全の為にもね。多少人より鼻が利くってくらいが丁度いいわ」


 「それもそうか、じゃあ、危険探知犬の誕生を祝ってやるか!」


 「はーっ、そのネーミングはいくら何でもどうかと思うわよ」


 「いいんだよ。これぐらい軽いのりほうがやつの為でもある」


 「はいはい、さっさと後処理するわよ」


 大きな溜息をつくと皐月は、消火を終えた消防隊の元へと向かう。その後を笑いながら田丸は追って行った。その姿を近くの木の陰から、二人の男女が見ていた。


 「少しやりすぎではないか?」


 「仕方ないであろう、そもそも私の専門はそなたと違って破壊なんだぞ。加減が難しいのだ」


 眉間に皺を寄せて唸る相棒にやれやれと首を男は首を振る。


 「…………では、我らも後始末を終えてあの子の元へ向かうか。奴らに気取られる前に」


 「もう少し自由な時間を持たせてやりたかったのだがな。一応、鍵を掛け直したが、いつまで持つか」


 「全てを思い出してどうするかは、あの子の意志に任せるべきだ。どんな道を選ぼうと我らは共にあるだけだ」


 「そうだな。我らが主が選択した道が我らにとっての正道なのだから」


 (例え、あの子が選んだのが復讐という道で、その結果あの子が人の道を踏み外すのだとしてもその最後まで共に進むのみ。ただ、あの若造とその仲間があの子の心を照らす光となることを切に願うが)

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