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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.22 大きすぎる力<1>

 「おい、大熊! ホームの職員の調書が上がってきたらから整理して共有しておけ!」

 「了解しました」


 沙紀達が出かけたあと、事務所では鈴木警部の部下から随時上がってくる関係先での調書等の資料の整理で大祐と田丸はせわしなく動き続けていた。大祐が新しい資料をまとめようと画面に目を移した時だった。『CAUTION』と赤文字で通知が現れ、地図が映し出される。


 「何だこれ? いつもの警報とは違う? 田丸さん!」

 

 「どうした?」


 「これ! 何ですか?」


 「……やべぇ。おい、S装備に着替えて出るぞ。緊急事態だ。詳細は後だ」


 田丸の促され、地下の装備室へ向かう。地下にある装備は現場での事件鎮圧用で話には聞いていたが身に着けるのは初めてだった。部屋に入るなり、田丸は手早く二人分の装備を取り出すと大祐に手渡す。


  「まず、これを身につける」


 そう言って手渡されたのは、薄手のウエットスーツに似たものだった。


 「これは、特殊繊維で出来ている。伸縮性に長けている上に大抵の刃物の攻撃は通さない。防火・防寒にも長けている。だからと言って過信すんなよ」


 「はい」


 その後に渡されたのは、同じく伸縮性に長けた布地で出来た黒いズボンと黒い長袖のティーシャツだった。これが基本的な服装らしい。


 「そしてこれがヘッドフォン型の通信機。横にマイクがついてるだろう? これで後方支援の連中との連絡を取る。この時計は、このスィッチを押すと周囲の簡略図が出る。これで味方の位置確認が出来る。あと基本は、特殊警棒、ナイフ、銃、手錠。状況によっては少量の火薬、催涙弾やガス、照明弾なんかを装備する」


 一通り説明すると田丸は急いで装備に着替え始める。それに習って大祐も装備に急いで着替えた。二人が着替え終えるのと同時に装備室へ課長と警部が現れた。


 「準備は出来たかい? 今回の出動要請について説明する。今回の鎮圧対象は沙紀君。どうやら力のコントロールが効かなくなったようだ。現在は自分の周囲に結界を張って被害が出ないように抑えている。今回は、その結界内に侵入して速やかにこの腕輪を取り付けて暴走を抑えてください」


 「沙紀さんが鎮圧対象?」


 課長から説明された出動要請の内容に大祐は驚きと戸惑いを隠せなかった。


 「おそらく、何か精神的に動揺する情報を得てしまったんだろう。常日頃は厳しく自分を律しているけど、あの子もまだ十代の少女だ。心のコントロールを失うこともある」


 「だからお嬢ちゃんが正気に戻った時、気に病まないようにする為に周囲に被害を出すことなく事を抑えるのがお前らの役目だ。妹分の暴走を抑えるのは兄貴達の仕事だよな? なぁ、田丸?」


 「当然。まぁ、今回は実地訓練の弟分もいるので手間はかかりますけどね。姐さんも向かっているだろうし、何とかしますよ。ほら、行くぞ」

 

 「はい!」


  田丸は思い切り大祐の肩を叩くと課長から新しい腕輪の入った箱を受け取り、駐車場へ向かい始めた。

その後を小走りで大祐は追った。その後ろ姿を見て警部は笑った。


 「いいチームになりそうだな?」


 「彼は良い潤滑油になりそうな人材だからね。三人だけだと、力で抑え込むチームになりがちだけど彼が入ればバランスは良くなると思う。我々は後始末の手配をしますかね」




 

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