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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.21 情報屋<1>

 皐月に近くの総合運動公園の近くで車を降ろしてもらった沙紀は、待ち合わせ場所である公園近くの歩道橋で待ち合わせ相手を待っていた。遊び帰りであろう親子連れや子供達の集団を目で追いながら、今回の事件について考える。


 「結局のところこの事件の本当の始まりは何処なのかしら」


 「人々の純粋な善意でしょうかね」


 顔を上げて横を見ると執事の服をまとった一人の男が立っていた。街中にそぐわないその姿は、周囲か注目を集める存在。しかし、街行く彼等は自分達の姿に目を向けることはない。


 「相変わらず神出鬼没なんだから。それで、情報屋のあなたが分析した結果が人々の純粋な善意ってこと?」


 「はい。そもそも養子縁組の斡旋をしていた彼等はただただ子供達の幸せを願っていた。ひっそりとバレないように様々な伝手を使って純粋に子供を願う夫婦へ斡旋していただけです。しかしながら人の口に戸は立てられぬと言うでしょう? そして彼等は脅されるようになってしまった」


 男は手に持っていた調査報告書が入った封筒を沙紀へと手渡した。その中には近年養子に出された子供の情報とホームから卒業して行方不明になっている子供達のリストがあった。


 「そして多数の善意を守る為に少数の犠牲が生まれてしまったってこと?」


 おそらくこの養子に出された幼い子供達の幸せの為に、ホームの卒業を控えた家庭内に問題のある子供達が選別されたのだろうと沙紀は考えた。この斡旋者達は、天秤にかけざるを得なかったのだ。多数を救える道を守る選択と少数を切り捨てる選択とを。


 「始まりがそこだとして、今回の爆発火災事件につながる要素ってあるのかしら?」


 「彼等は気づいたんですよ。幼児は能力の安定がかけているから成人に近く能力が安定している子供達を斡旋するという彼等の主張に嘘があることに。だって、普通に考えたらそれほど知恵がついていない年代の子供達のほうが懐柔しやすく、洗脳もしやすいでしょう?」


 「そうね、普通狙うなら未成熟な子供でしょうね。ただ、世間的にも異能力というものの知識が乏しかった時ならそれで騙されていたでしょうね」


 「そして子供達の多くの養子先は海外の篤志家達です。彼等は子供達に広い世界を見せることと家族になる為の時間を取る為に、豪華客船での渡航を選択した」


 「あー、だからあの式典が標的になっているのね。でも、海外への養子って許されないはずだけど? 能力者は移動が制限されているはず」


 「色々な伝手を使ってと言ったでしょう? まぁ、色々特権を持っている方々はいるってことですよ。多分、ホームを卒業した子供達を様々な組織へ斡旋しているブローカーも調査したんでしょう。幼い子供達が何処へ消えたのか」


 「それが前回の爆発未遂事件なのね。もしかしてあゆみちゃんの行方不明は事件ではなく、養子に出されたってこと? でも一体、誰がそんなことを……、あぁ、亡くなった牧師が善意の斡旋者ってこと?」


 「そういうことです」


 情報屋は良く分かりましたとばかりに沙紀へ拍手を送った。


 

 

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