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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.20 事件の根幹<1>

 自分の名を名乗ると佐々木は腕を組みながら、特異課の面々を確認するようにそれぞれに視線をやる。人を小馬鹿にした笑みを浮かべたまま。


 「佐々木判事は、何をしにきたのかな? あなたは今潜入捜査をしている身のはず」


 課長の問いかけに佐々木は、わざとらしく溜息をついた。


 「潜入捜査中にまさか警察が、それも特異課の方々が訪問してくるとは想定外だったもので。その上、こちらが張った結界にも分析班を置いて本格的に捜査が入ったと報告が上がりましたので一応、ご挨拶が必要かと思いまして」


 「我々は現在捜査中の事件を追っている過程でそちらにお邪魔したにすぎませんよ。あなた方のお邪魔をする意図はありません。なので、詳細まで話せとは言いませんが何の調査をされているのか概要だけでも教えてもらえませんか?」


 「…………そうですね。我々の調査にも協力していただけるなら、こちらも情報をお出ししましょう。どこの部署も人手不足だ。特に能力者関連の事案には」


 あっさりと情報提供を申し出てくる佐々木に、沙紀達は驚いた。正直、様々な部署が関わるとそれぞれのしがらみが多すぎて迅速に事を動かすのは難しいのが現実だ。一つの情報開示するをするまでに何工程もの手続きが必要で時間切れになることもある。


 「私は無駄なことが嫌いです。今抱えている事案は時間が勝負です。証拠を集めてすぐに法整備を整える必要がある。子供達の未来の為にね」


 「では、早速あなた方合同チームが追っている事案を教えていただけますか」


 「私達が追っているのは合法的な養子縁組を利用した能力者の子供達の人身売買です」


 佐々木の言葉に大祐は言葉を失った。自分達の追っている事案とかけ離れた事案だからだ。


 「私達が現在追っているのは、大型客船の完成披露式典の爆破未遂事件と再度起こるであろう爆破事件の捜査よ。字面だけなら繋がりそうにない事案ね。元々は都内で頻発していた爆発火災事件の捜査が始まりだけど」


 「確かに単体で事件をとらえれば関係なく見えるでしょう。でも、どこかに繋がりがあるからこそ我々は調査の過程でぶつかったと思いませんか?」


 「事件の根幹がその人身売買なら、何故今になって表に出てきたんだ? さっきしれっとそこの判事さんは自分も売られた発言してたけどよ」


 田丸の指摘にその場の全員の視線が佐々木へ向いた。


 「まぁ、人身売買と言ってもきちんと合法的な過程を経たケースがほとんどでしたよ。私が未成年の頃はそれが助けになっていた。そもそも異能力の存在が社会問題になり始めたばかりの頃です。能力が目覚めた子供を持て余す親がほとんどでしたから。その頃の養子縁組はほとんどが新たな可能性に目をつけた上流階級の方々の慈善事業の一種でした」


 「今は違うんですか?」


 大祐の問いかけに佐々木は真剣な表情で頷く。


 「えぇ、今は半々ですね。そもそも能力者の子供達を守る制度が整うと養子に出す親達も減りましたから。なので篤志家と呼ばれる方々は違う方面で子供達への保護を強化しています。ただ、それでも子供を手放す親はいます。特に経済的に問題がある家庭は。その親が養子に出すのがそういう方々なら良かった。けれど、次第に善人を装い犯罪集団に子供を売り渡すブローカーが出てきたんです」


 


 

 

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