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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.18 ホーム<3>

 車内の空気が重くなったその時、車の窓を叩く音が聞こえた。助手席側の窓の外には皐月が立っていた。笑顔で手を振り後部座席のドアを開け車に乗り込んでくる。


 「あら、随分と重い空気ね。何かあったの?」


 「この世の中は私達にはまだまだ優しい世界ではないという現実を思い知らされているところ」


 「あー、大体察しが付いた。でも仕方ないわよ。だっていくら社会的にも能力者の存在が確認されてきたと言っても十年やっと経ったかなってくらいだもの。大祐君もあんまり深く考えすぎないでおいたほうがいいわよ。じゃないと、持たないわ」


 皐月の言葉にそれもそうかと大祐は思った。たった十年でどうにかなる事柄なんてない。特に社会的な事柄に関しては。


 「ざっとホームの周辺を歩いてきたけれど、ホームを囲むように結界の触媒になるものが配置されているわね。けっこう大がかりだけど、結界が張られたのは随分前ね。それこそこのホームが出来たのと同じくらいじゃないかしら」


 「何の為の結界だと思う?」


 「用途としては、記憶改変と幻覚。このホームの結界から出ると作成者が設定した事柄に対しての記憶が改変される。あとは、このホームの外から入った特定の人物の姿が誤認識される。ただ、幻覚に関しては後付ね。元々の結界を利用している。詳細に関しては、時間をかけての解析が必要ね」


 「やっぱり、触らないほうがいい?」


 「この結界の目的が分からない限りは。今、念のために他のホームに同様の結界がないかを確認しているわ」


 (さっき依頼した調査結果が出るまでは下手にホームの関係者にコンタクトを取らないほうがいいか。だけど、イベントまで時間があまりないのも問題よね)


 「あと、鈴木警部からも報告があったんだけどかなりまずい状況」


 「何かあったんですか?」


 「今朝、東京湾で遺体が上がったらしいわ。暴行と腐敗で顔は確認できなかったけど、手首に腕輪をつけてたらしくて。そのシリアルナンバーで被害者を確認中。ただ、特徴が例のホームレスが見たらしい子と一致しているみたい」


 皐月の報告に大祐は言葉を失う。事件解決の為の糸口が誰かによって断ち切られてしまった。


 「それは、まずい。完全に後手に回っている。……それに恐らくその見つかった遺体は彼の可能性が高い」


 「彼って、まさか。いや、考えが飛躍しすぎでは?」


 沙紀の仮説に大祐は否定の言葉を投げかけるが、それと同時に自分の中にも同じ仮説が浮かんでしまっている。


 「彼?」


 皐月の疑問に沙紀は無言でタブレットを手渡す。ざっと目を通した皐月は思わず口を手でふさぐ。


 「信じたくないけど、さっちゃんの仮説が一番可能性が高いかもしれない。ただ、彼が行方不明になった時期はあゆみちゃんよりも早いわ」


 「今回爆破依頼を受けた組織にスカウトされたんでしょ。手っ取り早く稼げるもの。ただ、爆破の訓練の過程で彼は何かを知ってしまった。その結果、消された」


 再び、社内が重苦しい空気の支配された。その時、皐月が何かに気づき外へと視線をやる。遅れて沙紀と大祐も外へ注意を向けるとそこには教会で会った少年がこちらに向かってきていた。


 「皐月ちゃん、彼を車へ。直ぐに車に認知阻害の結界を」


 「了解。……君! こっちに来て!」


 皐月は車を降りると少年の手を取り、車に押し込む。そしてすぐにアトマイザーを取り出しワンプッシュすると車に乗り込み手早く印を切った。


 「念のために幻覚も足しておいたわ」


 「皐月ちゃん、ありがとう。君、私達に何か話したい事があるんでしょ?」


 「うん。聞いてくれる?」

 

 「もちろんよ」


 「あのね……」



 

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