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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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20/161

File.15 教会

 「ここが例の教会か」


 事務所から徒歩二十分程の住宅地と再開発地区の境にある教会は、広めの庭を持つ由緒ある教会だそうで周辺住民達も気軽に集まる憩いの場でもあった。庭では子供達が元気に駆け回っている。


 「大熊、こっちよ。あっちの建物が教会の事務所みたい」


 「はい」


 駐車場に車を止めた沙紀達は、壁に張られた案内図を頼りに教会の事務所へと向かう。教会とは別に敷地の奥に事務所があるらしい。奥に進むと案内図通り建物が見えた。少し古めの木造建築の建物で窓にステンドグラスが張られておりレトロな雰囲気を醸し出している。


 「今日は随分と人が多いんですね」


 「そうね、何かあるのかしら」


 「明日は炊き出しなので色々な方がお手伝いに来てくださっているのです」


 大祐達の疑問に後ろから男性の声が答えてくれた。振り返るとそこには黒いスタンドカラーの服をまとった男性が立っていた。首元には十字架をかけていることから恐らくこの教会の関係者であることが分かる。


 「初めての方のようですが、何か御用ですか?」


 「警視庁より参りました、九重と大熊と申します。失礼ですが、あなたは?」


 「警察の方ですか。失礼しました。この教会を預かっております牧師の鹿山と申します」


 「失礼いたしました。ある事件の件で少しお聞きしたいことがありまして、お時間よろしいでしょうか」


 「かまいませんよ。事務所の中へどうぞ」


 鹿山牧師に案内されて、沙紀達は事務所の中へと入る。案内された部屋は、いくつかの事務机と来客用のソファーが置かれた部屋だった。


 「そちらへおかけください。お茶を準備しますので、少々お待ちください」


 「おかまいなく、すぐにお暇しますので」


 「いえいえ、せっかくですので私のお茶にお付き合いください。お客様には失礼ですが、休憩を取る良い口実になりますので」


 鹿山は部屋の奥にある給湯室へ手を振って消えていく。鼻歌を歌いなが楽し気にお茶の準備に向かって行く様子に沙紀達は思わず吹き出してしまう。


 「たっ、楽しそうな方ね」


 「悪い人ではなさそうですね」


 「そう言えば、あなたがスーパーで見た子供達を迎えにきたというのはあの牧師さん?」


 「いや…………、もう少し年配の方でしたね」


 「彼、一人ではないのかしら」


 部屋を見渡すと事務机がいくつかあるので複数人で運営しているのかもしれない。


 「お待たせしました。お茶をどうぞ」


 「ありがとうございます。頂きます」


 「うん、我ながら美味しく入れられました。それで、本日のご用件は?」


 沙紀は手早く爆発火災事件の概要を話す。目撃者である被害者がこの教会の炊き出しに通っていたこととその炊き出しで知り合った少年がいることを。それを聞いた鹿山は首を捻り唸る。


 「申し訳ありません、私ではお役にはたてませんね」


 「どういうことですか?」


 「実は私がこの教会に赴任したのは先日のことで前任者は持病で亡くなってしまったのです」


 「他に職員の方はいらっしゃらないのですか?」


 「ボランティアの方や近所のホームの子達がお手伝いに来てくれますが、炊き出し日以外は基本的に私が一人で運営しています」


 「念の為に被害者の写真を見て頂けますか?」


 大祐は事前に用意していた昭一の写真を鹿山に手渡す。鹿山はその写真を受け取りじっくりと何かを探るような目で確認している。恐らく自分の記憶にある人物達の顔と見比べているのだろう。ただ、大祐はその様子にどこか違和感を覚えた。理由は分からないが。


 「もちろんです。…………うーん、やはりお会いしたことはありませんね。この方のお名前は?」


 「本名ではありませんが、昭一と仲間内では名乗っているそうです」


 「昭一さんですか。ボランティアの方々にも聞いておきますね。その知り合いという少年の名前は?」


 「いえ、被害者も知らないそうで。お互いに名乗りあっていないようです」


 「そうですか、色々事情はありますからね。明日の炊き出しで目を配っておきます。その年頃でしたら目立つでしょうし」


 「よろしくお願いします。何かありましたらこちらへご連絡ください」


 大祐は自分の名刺を鹿山へと手渡した。普段なら沙紀が手渡してから自分の分を手渡すのだが、沙紀の名刺を手渡すのを遮るような大祐の行動に沙紀は内心首を傾げる。


 (これは私の名刺は渡すなということかしら。もしかして、彼の能力に訴える何かがこの牧師にあるということ?)


 「ご協力ありがとうございました。我々はこれで失礼します。行くわよ」


 「はい、失礼いたします」


 「ご苦労様です。よろしければお暇な時にでもいらしてください。警察の方がいらしてくださればみんな安心しますから」

 

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