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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File.9 特効薬

 「あー、疲れた。今後は成長してくれるといいけど。正直、一緒にいた妹の方が見込みがあるんじゃないかしら?」


 「すごくしっかりしてましたね」


 兄を引っ張って去って行った後ろ姿は、清楚で儚い第一印象から一転してしっかりものの芯が強い少女へと印象が変化した。


 「まぁ、今後の成長に期待ね。彼等があれらと同じ存在になるか、違う存在になるかは」


 沙紀の棘のある言葉に大祐は、頷いた。沙紀と一緒にいくつかの事件に携わる中で最近は、彼等の一族と関わる機会が増えてきていた。その時に出会った人間の印象が悪すぎて、他の警察官達の態度が悪いのも頷けてしまう。特に現場に時折現れる向こうのお偉方がそろいもそろって俗物(沙紀さん談)ばかりで困っているのだ。


 「大体、えらそうなこと言うわりに何もしてないじゃないの。何が我々は昔からこの国を守ってきたんだ、君達みたいなぽっと出の人間には分らないのだよだ。あのハゲジジィ、私達があんたのやっていること知らないとでも思ってるのかっての!!」


 沙紀さんが言うハゲジジィは、国内では地位のある有名な国会議員だった。ニュースで見ていた人間がまさか一族の人間とは思わなかったが、そもそも議員だし多少の俗物でも構わないかなぁと思わないでもなかったが突然現れて現場をかき回すだけかき回して去って行くので、次の選挙で落ちればいいとつい思ってしまう。


 「まぁまぁ、今日会った疾風君達は素直でいい感じでしたよ」


 「…………タロ。子供だからってなめてたら痛い目みるわよ。彼は藤堂の人間だもの」


 「何か知ってるんですか? 沙紀さん」


 「あの一族がいくつかに別れてるのは知っているでしょ? そのうちの一つの跡取りなのよ、あの坊やは」


 「かなりの大物ってことですか?」


 「大物になる予定ってとこかしらね。どう育つかはこれからによるでしょう」


 怒りと共に叫んだのが効いたのか、沙紀の声音がいつもの冷静さを取り戻し始めた。そんな沙紀の様子を見て大祐はホッとする。そして丁度良いタイミングで彼が現れた。


 「こんにちは。出前です」


 「杉浦? どうしたの?」


 「出前の注文がありましたので。どうぞ」


 杉浦に渡されたどんぶりを受け取り、沙紀は蓋を開ける。するとそこにはご飯ではなく特別サイズのプリンが姿を現す。数種類のフルーツに生クリームがきれいにトッピングされている。


 「どんぶりプリン? えっ? いいの? 」


 「はい。大熊刑事からです。どんぶりなのは、既に海里の仕込みをしてまして。親父さんに話して器として借りました」


 「どうぞ、食べてください。今日は忙しかったですからね」


 「ありがとう」


 お礼を言うと沙紀は嬉しそうにどんぶりプリンを抱えて、自分の席にスキップで戻って行った。そして、皐月から出された珈琲をお供にニコニコ笑顔でプリンを食べ始めた。


(これで完全に戻ったかな機嫌)

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