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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.9 現場検証<2>

 両隣のビルの検証を行ったが鈴木の言う通り、特に三棟の被害に大きな差異はなかった。一緒に見回った沙紀からも特に質問はなく、今回の事件が特異課が取り扱う事件なのかは大祐には判断がつかなかった。


 (これでどう判断するんだ?)


 「で、お嬢ちゃん。今回の事件はおたくらの扱う事件か?」


 「最後に今回の事件の通報者は誰ですか?」


 「通報してきたのは、名前を名乗っていない誰かと被害者のホームレスだ。順番としては、ホームレスが爆発で火災が起きた直後に消防車、名無しの誰かがホームレスがビルから逃げ出した後に救急車を呼んでいる」


 「……爆発事件の犯人は能力者で間違いないかと」


 「どうして、そう思う?」


 「各ビルの火災の被害ですね。明らかに被害者がいたビルだけ火の勢いと燃え広がり方が弱い。その上、内部構造が全く同じな上に現場にあった遺留物も同じ。例え現場の状況に多少の差異があったとしても同等の被害が出ていないのはおかしい。まるで誰かが火の勢いを止めているようです」


 「わざわざ犯人が助けたってのか」


 「そこが分かりません。ただの愉快犯なら被害者を助ける必要がないですから。たまたま被害者がいたから助けたという構図が成り立たない気がします」


 「よし、じゃあこの事件はおたくらに回す。恐らく俺も一緒に回ることになるから、その時はよろしくな」


 「はい、私も上に報告を上げておきます。大熊、戻るわよ」


 「はっ、はい」


 車に乗り込むと沙紀は、課長に電話をかけ報告を始めた。その隣で大祐は沙紀に気づかれぬようにそっと溜息をつく。沙紀は横目でチラリと大祐の顔を確認すると手早く報告を終了させた。


 「何、溜息をついているの?聞きたいことがあるなら聞けば?」


 「…………何で沙紀さんはあれが能力者の仕業だと分かったんですか?」


 「あぁ、落ち込んでいるのね。まぁ、今回の分からなくて当然よ。燃え方の違いなんて場数を踏んでないと違いには気づきにくいし。特に今回は元々事故の可能性もあったから気づかない内に視野が狭まってたのね。新人ならよくある事よ」


 「場数ですか」


 「あと事件だと判断した理由は、私の能力に関係があるのよ」


 「そう言えば沙紀さんの能力ってなんですか?」


 「私の能力は今回の犯人と同じく発火能力よ。だから何となく分かるのよ、火の意思がね」


 「火の意思ですか?」


 「感覚的なものだから意思と私は呼んでる。火事とか見ると何となく火がどう燃えたいとかが分かる。今回の現場、特に被害の少なかったビルに不満が残っている感じがするの。もっと燃えたいのに、何で邪魔するんだってね」


 「つまり、今回の能力者が火をつけたのと同時にそれを邪魔していたってことですか?」


 「そう、だからこそ違和感があるの。発火能力者って割と世の中にはいるのよ。大体が放火魔で愉快犯気質がほとんど。何もないところで火を燃やして他人が逃げ惑うのを笑ってる。目的を持ってるほうが珍しい。目的がある場合は、大体犯罪者グループにいて犯行声明を出すし」


 「沙紀さんは火をつけたいとかあるんですか?」


 「あのね、私は警察官よ。そんなことする訳ないでしょう?」


 「す、すみません」


 「私にとって火は懐かしさと暖かさをくれる存在。それで誰かを傷つけようとは思わない。生まれた時から当たり前のようにある力だもの」


 そう言うと沙紀は車窓から見える景色に視線をやり黙ってしまった。


 (俺みたいに後天的に能力を得るのと沙紀さんみたいに生まれた時から能力を自覚して生きている人間では能力に対する考えとか感情とか違うのかもしれない)


 「それに私は自分達の能力が他者に対して良い意味でも悪い意味でも影響を及ぼすんだってこととその為に一般人よりも高い倫理観を持って生きなければいけないということを教育されている」

 

 「流石、課長ですね」


 「…………そうね。おかげで能力を憎むことはなかったから他の人よりは恵まれているかもしれないわね」


 一瞬、沙紀が言いよどんだことに大祐はこの時は気づかなかった。その言いよどんだ理由が事件につながっていくことも、沙紀の過去につながっていくこともこの時は予想もしていなかった。

 

 

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