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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File.5 特例名簿の少年達

 特異能力者登録制度。


 これは、特異能力者の存在が明らかになった時、政府がその能力者の把握と監視の為に作った制度である。住民登録をすると同時に身体検査が行われその結果により登録がなされる。そしてその登録簿は、警察署にデータベース化され、特異能力による犯罪の捜査に役立たれている。


 しかし、この登録簿にはもう一つ『特例名簿』なる物が存在している。その名簿に記された人間による破壊行動や傷害・殺人について、警察は一切の捜査・逮捕の権限を持ち得ない。その名簿に登録された人間に関わる事件はトップシークレットであり、その事件についてはある企業に報告するのみとなっている。


 それは政府が容認していることであり、現場や民間には口を出す権限がない。それを良しとしない一部の政府の人間達の手によって彼等に対抗する存在として特異課が作られたのだ。そういった背景からか、彼等との関係は良い物では無い。


 その彼等の通称名は、扉の一族と呼ばれるものでいくつかの一族に別れているらしいのだが詳しいことは明らかにされていない。謎の一族だった。


 そして、どうやら沙紀さんは彼等と何かしらの因縁があるらしい。しかし、その事については緘口令がしかれた為現場にいた自分達しか知らないことである。もしかしたら、あの事件のように沙紀に向けて牙をむく人間がいるかもしれない。あの時のように沙紀が傷つく様を見たくない。


 (気を引き締めていかなければ)


 大祐は、指揮を取る沙紀を見ながら気合を入れる。


 「さぁ、行くわよ」


 「はい」


 大祐達が犯人の元へ向かっていると、突然すさまじい突風が吹き荒れる。その強烈な風力よって周囲の廃ビルの窓が割れていく。大祐はとっさに沙紀の腕を掴み抱え込む、そして突風に飛ばされないよう体を低くし風が収まるのを待つ。


 周囲の警官隊も同じように姿勢を低くし、身を守っていた。時間にすると数十秒だが、とても長く感じた。風がやみ周囲の状況を大祐が確認していると、自分の腕をバシバシと叩く沙紀に気付く。大祐が腕の力を緩めると、大祐の体と腕の間から沙紀が顔を勢いよく出す。そして、ゼェゼェと呼吸したのち、大祐の足を思い切り踏みつけた。


 「イテェ!!」


 「痛いですって? こっちは、危うく窒息死するとこだったわよ!!」


 ギロリと沙紀に睨まれ、大祐は謝り自分の腕から沙紀を解放する。


 「…………でも助かったわ。ありがとう」


 沙紀は、そう言うとクルリと向きを変えスタスタと歩いていく。恥ずかしさからくるものなのか、心なしか頬を赤らめている。


 「あっ、待ってください!!」


 そんな沙紀を見て大祐は、可愛らしいなと思いながら急いでその後を追った。突風が吹いてきたブロックの近くにくると、沙紀は銃を取り出す。


 「出力レベルは中で、タロ、あなたも出す」


 大祐は慌ててホルスターから銃を取り出すと出力レベルを合わせる。


 「私の合図で一斉に出て下さい。念のため私がシールド張ります。タロ、あなたが先頭でね?」


 「りょ、了解です」


 「では、5・4・3・2・1」


 沙紀が0とカウントすると同時に大祐は、角を曲がり突風を作り出したと思われる人物に銃を構える。


 「手をあげろ!!」


 その声に振り向いたのはまだ若い少年と少女。そして背の高い青年だった。


 (子供? 彼は、以前見た少年か)


 三人は、驚きながらもそろそろと両手を上げてこちらに恭順の意志を示した。それを見た沙紀は、銃を構えながら前へと進み、三人に話しかけた。


 「申し訳ありませんが状況が把握出来ない状態ですので我々と一緒に来ていただきます」


 背の高い青年が、少年と少女を庇いながら沙紀に問いかける。


 「それはかまわないが、君は一体何者かな? お嬢さん」


 その瞳を見たとき、何故だかわからないが大祐の体を恐怖が支配する。


 (何だ、あの男。…………人間じゃない? まさかな)


 「私は特異能力犯罪捜査課に所属する刑事で九重 沙紀と言います」

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