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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File.2 居酒屋 海里

 居酒屋『海里』は、表向きはどこにでもある極普通の居酒屋であるが店主は元警察官であり能力者でもある。元警察官という縁で犯罪を犯した能力者達の保護司を勤めていた。その為、軽犯罪を犯した者の社会復帰を担う場所ともなっている。


 「こんばんは」


 海里の暖簾をくぐって店内に入ると『いらっしゃいませ』という元気な声が上がる。もう閉店時間に近いせいか他のお客は大分減ってはいるようだ。


 「いらっしゃいませ…………沙紀様」


 「こんばんは、杉浦さん。…………様はやめて。禁止!」


 「難しいですね。本当は姫様とお呼びしたいのですが」


 「そっちは、もっと禁止! みんなは?」


 「奥のお座敷にいらっしゃいます。どうぞ、ご案内します」


 杉浦に近況を聞きながら、奥の座敷へと向かう。その途中のテーブル席から学生と思われる一団の大きな声が響き渡る。その大きさにびっくりした沙紀は、顔をしかめる。


 「本日は、近くの大学の学生さん達の予約が入ってまして…………」


 「まぁ、彼等が楽しく飲めているなら今日も世間は平和ってことよね。ただ、ちょっと飲みすぎじゃないかしら?」


 大きな笑い声の主は、どんどんとビールのジョッキを空にしていく。近くにいる友人達が止めているがそれを無視して飲み続けていた。


 「急性アルコール中毒にならなきゃいいけど」


 「一応、親父さんに言われてみんなで警戒はしているんですけど」


 確かにこのテーブルに対して向けられる店員達の視線は多い。いつでも対応出来るように警戒しているようだった。その視線に当の本人達は気づいてはいないようだ。沙紀はやれやれと首を振りその場を後にした。


 「お疲れ様です。あら、ここにも一人やばそうな人間が…………」


 来るのが遅かったのか座敷の奥で大きな体を縮めて横になっているタロがいた。そんなタロを横目に皐月は上機嫌で飲み続けている。


 「さっちゃん、お疲れ様! ささ、座って座って」


 「うん。でもまだ私は飲めないからね」


 「もちろんよ。まだご飯食べていないでしょ? 杉浦さん! さっちゃんの分のご飯をお願いします」


 「はい、かしこまりました。では、運んで来ますのでお待ちください。飲み物はお茶でいいですか?」


 「うん、烏龍茶で」


 皐月の横に腰を降ろすとすぐに横から袋から取り出したおしぼりが沙紀に手渡された。それを受け取りながら今晩の飲み会の犠牲者を確認する。倒れているタロ以外は、課長と田丸だけだった。


 「あれ? 参加者はこれだけ?」


 「あー、何人か潰れてそれを担いで他の面々は帰ったぞ」


 「警部の部下達もいたんだけど、まぁ見事に潰れてしまってね…………」


 皐月にちらりと視線をやって苦笑する課長に思わず吹き出す。今日の飲み会は、いつもお世話になっている警部とその部下達が主催だったはず。目的は、皐月との親睦だったがどうやらあっけなく潰されてしまったと。


 「警部は、やめとけって止めていたんだけどな。姐さんとの飲み会は…………」


 意地悪く笑う田丸に沙紀はやれやれと思った。まぁ、皐月に余計な虫を寄せない為には一度潰しておくのが一番効果的ではある。


 「何よ、たったあれだけで潰れるなんて不甲斐ない。せめて大祐君くらいは飲めないと」


 「大祐も大分頑張ってはいたけどな。さっき、落ちた」


 すーすーと寝息をたてるタロに沙紀は心の中でよくやったと褒め言葉をおくった。


 

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