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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第二章 嵐は突然に

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File29. 記憶を求める新たな一歩

 怪我の療養も終わり退院を許された沙紀は、その足で大熊と一緒にある場所を訪れていた。都心から離れた山中にある寺の境内にある墓地。その一角に真新しい杉浦家の墓があった。この墓は先祖代々の墓地ではなく、杉浦夫婦が緋奈の為に建てた墓だった。


 「沙紀さん、こっちです」


 「ありがとう。…………久しぶり緋奈姉」


 沙紀は墓の前に立ち一礼すると手に持っていた花を飾り始める。本当は菊の花とかの仏花を飾るべきなのだが、それだと味気ないし彼女に似合わないと思い小さ目の向日葵の花束を購入した。どんな時も自分の前では笑顔をくれた緋奈にはピッタリだと思ったから。


 「きれいに手入れされてますね。それに数日前には誰か来たみたいですね。他の花束がありますから」


 「そうね。ガーベラにカスミソウ、明るい色合いでアレンジメントされてる。もしかしたら、彼等かもしれない」


 「彼等?」


 「うん、生き残った学園の同期達。今はバラバラで立場も違うから会うことは少ないけど、きっと彼等よ。さぁ、手を合わせましょう」


 「はい」


 記憶を無くした沙紀を励まし側にいた緋奈。一族の一員であることを明かすことなく側で沙紀を見守り続けた少女の冥福を大祐は祈った。隣に立つ沙紀に目をやると瞳を閉じて一心に手を合わせる沙紀の表情に強い意志を感じる。


 「緋奈姉、また来るね。さぁ、事務所に帰るわよ」


 「はい」


 寺の門を出て駐車場へ続く階段を降りながら沙紀はポツリと呟く。


 「タロも課長から聞いたんでしょう? 私の過去のこと」


 「少しだけですけど。事件の詳細資料も確認しましたが、ほとんどが黒塗りで謎だらけです」


 「やっぱりそうよね。私はまだ資料は読めていないけど、そんな気はしてた。あの一族が関わっている事件で私達が手にすることが出来る情報なんてほとんどないもの」


 事件自体は、特例名簿が出来る以前。そもそも特異能力者の存在が認知される前の出来事なので、尚更情報は残っていない。


 「多分、これからも私の過去にまつわる事件が起きる気がする。そのせいでタロを含めてみんなを巻き込むことになる。その点は先に謝っておく。もし、巻き込まれたくないっていうなら私から課長に話して配属部署を変えることも可能だけどどうする?」


 そう言って自分の顔を見上げる沙紀の表情は、めずらしく分かりやすい感情を宿していた。寂しい、心細いという表情に、昔迷子になった時の妹の顔が重なる。


 「そうですね。まぁ、普通なら移動を希望するんでしょうけど。俺は普通ではないので。それに既に巻き込まれていますから。このまま謎を謎にしておくのはすっきりしないです。それに俺は危険探知犬らしいので、みんなの危険を精一杯探知していきますよ」


 「…………そうよね! じゃあ、帰ったら早速訓練再開よ!!」


 大祐の返事を聞いた沙紀は、一瞬で笑顔になると強い宣言と共に車へと足早に向かって行った。その瞬間、一瞬風が吹く。大祐がふと足を止め寺を振り返るとそこには一人の少女が立っていて一礼するとその姿は消えてしまった。


 (君の分も見守るから心配しないで)


 「ちょっと、何しているの? 早く帰るわよ!」


 「あー、待ってくださいよ」


 これを期に大祐達の日常は更に嵐のような日々になっていくのだった。

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