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特異能力犯罪課捜査ファイル  作者: 楓
第一章 出会いの春

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File.9 現場検証<1>

 車から降り立つと目の前には、規制線の張られた古いビルが見えた。パっと見では火事が起きた現場とは思えなかったが、規制線の内側に入るとビルの中から焼けた匂いと煤けた黒い天井が少しだけ確認出来た。


 (確かに外観に被害はあまり見受けられない。そんなに大きな火事ではないのか?)


 「鈴木警部。お疲れ様です。特異課より派遣されました九重と大熊です」


 「おっ、お疲れ様です」


 自分の前に立っていた沙紀の声に合わせて慌てて挨拶をするとビルから出てきた40過ぎの体格の良い男性が手をひらりと振ってニヤリと笑った。


 「おっ、来たな。お嬢ちゃん?」


 「所轄の現場に警視庁の捜査一課の方が出張るなんて、よほど暇なんですね」


 「あぁ、被害者に面識があって個人的に気になってた事件なんでね。お! 何だ、後ろにいるのは新人か?」


 「はい、大熊 大祐巡査であります」


 大祐は、機敏にに敬礼をする。それを見た鈴木警部はうんうんと頷きながら言った。


 「そうそう、そうやって挨拶するんだよ。警察官はな。お嬢ちゃんもその新人君を見習って目上の人間には敬いを持たないとな」


 「ふん。目上だからと言って敬える人間とはかぎりませんから」


 「沙紀さん!!」


 「相変わらずだねぇ、お嬢ちゃんは。大熊、あんまり気にするな」


 沙紀の嫌味をゲラゲラと笑って受け流した鈴木警部は、手招きで二人をビルの中へと促した。


 「行くわよ」


 「はい」


 ビルの中に入ると所々燃えて黒く煤けた天井や壁はあるが、特に建物が崩れたような跡はなかった。火薬で爆発があった割には本当に被害は軽微だ。鈴木の案内で二階の奥の部屋へと案内される。どうやらここが火元らしく今まで一番焼け焦げた匂いや火事が起きた際に燃えた家具などが散乱している。


 「火元は奥にある空の金庫だ。けっこう頑丈だったみたいで、最初はこれが爆発の衝撃やらを吸収したんじゃないかと思われてた。だが、火薬の反応はあるが見事に起爆装置がない。鑑識も床に這いつくばって懸命に捜査したんだがな」


 「そもそもここは無人のビルで金目当てでの犯行ではないでしょう。だとすると愉快犯か。被害者というのは?」


 「ホームレスだな。色々と情報通で昔から世話になってた」


 「ホームレスなら、火の不始末を起こした可能性は? 微量の火薬とありましたから、マッチ等の可能性はありますよね?」


 「あいつは、ホームレスになる前に火事で家族を亡くした上に自分も酷い火傷を負っていてな。自分では絶対に火を使わない。冬場は、炊き出し場や役所が用意している簡易シェルターで過ごすのを徹底している」


 確かに日頃そこまで用心している人が真冬でもない限り、不用意に火を使って暖を取ったりはしないだろう。それに資料では複数の爆発があったと記載されていたはず。


 「鈴木警部。資料には複数の爆発があったと記載されていたかと思うのですが、他はどこで爆発があったのでしょうか」


 大祐からの質問に嬉しそうに警部は、笑った。


 「よしよし、ちゃんと資料に目を通しているな。爆発があったのは、このビルと両隣のビルだ。場所は同じ二階の奥の部屋だ。順番は、ほぼ同時で被害も同じくらいだ。ただ、他のビルと違うのは被害者がいたくらいだ」


 「両隣のビルも見せてください」


 「どっちも被害は似たような感じだぞ」


 「警部達の目線では同じでも、私の目線では違うと思いますよ」


 「ハイハイ。次、行くぞ」

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