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状況説明回です(´・_・`)
時は2000数十年。金持ち達の間であるゲームが流行った。
ヒュージーボード、大きな板。海上に作られたバーチャル空間で機械に戦争ごっこさせるゲーム。
やがてそのゲームの規模は国単位まで大きくなり、「最も安全な戦争」として立ち位置を確立していった。各国はこぞってご自慢の兵器を持ちより、板の上で競い合わせた。
そんな中一番注目を浴びていたのが学習する駒だ。司令塔をまかされたその兵器は、戦えば戦うほど強くなる。この技術はあちこちで研究され、より様々なことを学ぶよう改良された。その後起こったことを考えれば、それは改良ではなかったかもしれない。
その技術が本格的にゲームに導入され、ものの数年後。その道でトップをいく日本の学習兵器がある結論に至る。
つまり、司令兵器を壊すより代表者を殺す方が易い、と。
かの兵器は突然、対戦国の代表を撃ち殺した。これをきっかけに第3の戦争が始まったわけだ。
この町は、その戦争の原因になった兵器が開発された場所。よって面影も残らないほど集中放火をくらった。
異例の世界大戦はとっくに終結したにも関わらず、激戦地になった海辺の町は、いまだ荒れ放題。かつての日本を支えた一大開発所があったらしいことを証明するのは、土に代わって足元を支えるスクラップたちだけだ。
治安も悪く、怪しい儲け話や非合法の薬がもっともらしく振る舞っても、誰も取り締まったりしない。
さて、潮の香りは錆びに塗り替えられて建物の間に吹き込んでいく。