表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/30

19


骨を犠牲にしてまでやっつけたバイクがへでもない顔して目の前に佇んでいるのを見て、シェルムが少なからず衝撃と怒りを感じたのは確かだ。

したがって思わず足が出てしまったのはしょうがなかったことかもしれない。

「本来50ccの古い型なんだけど、改造して80ccにしてあるんだ。でもな?イピオスをそこらの80ccと一緒にしてもらっちゃ困る。なんてったってこいつは…っておい蹴るなよ!」

スニーカーの先が青の装甲に当たって重い音を立てる。その途端、バイクのエンジンがかかり震える様な駆動音。ウーウー唸りながら前輪が高く持ち上がった。驚いたのはシェルムだ。

なんだ、叩いて動くとか旧世代のテレビかよ。そうじゃなくて牽かれる、いや踏まれる!勢い良く回転しながら前輪が迫ってくる。

そんなときバグから鶴の一声。

「止め止め!」

バイクはピタリと停止した。そしてゆっくり後退しながら前輪を下ろす。シェルムは無意識に止めていた息を一気に吐き出した。心臓の動きが喉の辺りで感じられて唾の飲み込みようがなかった。

「イピオス、こいつ怪我してんだ。お前がじゃれただけで死んじまうよ。おい、お前も相棒は気難しいんだから怒らせんなよな」

今のは、確かにバイクがひとりでに動いていたように見えた。彼は横目でバグに説明を求めた。バグはそれに気づいて悪い笑みを返す。

「だからいったろ?そんじょそこらのバイクとは違うって」

シェルムはやっと絞り出した言葉で問直す。

「何、これ」

「何って、なんかパーツを組み込んだら自意識を持って意思表示出来るようになったバイク?うぅんめんどい、ちょっとメカな生き物、かな。なぁ相棒」

バグは得意気にイピオスを軽く叩いて見せた。バイクは返事の代わりにライトを光らせた。

シェルムは目眩がする気がした。パーツは彼が思っていたよりもずっと特殊で奇怪な物だったらしい。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ