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ネタがありきたり…だと…?Σ(゜ω゜ノ)ノギクッ
シェルムの家は二階建ての細い家にそれと同じぐらいの大きなガレージが寄り添う歪な容をしている。総合して一人暮らしには広過ぎである。
地価が安いから為せるわけだが、そうでなければまずこんなところに住もうとは思わない。近くに店も病院も学校さえ無い。それらへ用事が有るのならたっぷり1時間以上歩く必要がある。
正直、この状態でそこまで歩き回るのは厳しい。せっかくなのでこの男を利用しまくってやろうと思う。
その前にこいつが何者なのかを突き止める必要がある。だから適当な返事をされるとイラつく。
「バグ?本名NGなのか。そういう危ない系の人ならとっとと出てって欲しいね。」
バグと名乗ったそいつは苦笑した。子供のやんちゃを治める様な態度がかんに障る。
「そいつは困るぜ少年。俺はお前の持っているパーツを集めてるんだ」
シェルムはその言葉に身を硬くした。薄々気づいていたがこいつはあの引ったくりだ。
「お前…“教会裏”の者か」
警戒する彼を見て、男はキョトンとした。
「教会裏?」
知らない?まさか。だが男の表情に偽りは感じられない。なら何故パーツを集めている?何故自分がパーツを持っていることを知っている?
男は言葉を噛み砕いているようだったが、突然にハッとしてシェルムの両肩を強く掴んだ。
「俺は教会裏の人間なのか?知ってるのか」
揺すられた振動がダイレクトに肋骨に響く。痛みの中何とか男を押しやると、それだけでどっと疲労感が押し寄せてきた。
何いってるんだ、そんなの俺が知ってるわけないだろ。自分のことを知らないのか?なんだか様子がおかしい。
「知らない、俺が知りたいんだけど」
期待した男の肩が落ちる。その姿は妙に惨めに見えた。シェルムは気を緩めずそっと訊いてみる。
「ひょっとして、記憶が無いのか」
男は声だけで笑う。
「あぁ、情けねぇことにな。名前も、何やってたのかも。」
言い終わると、気持ちが切り替わったのかひょいと肩を竦めて見せた。
「記憶喪失、いいやそりゃ野暮だな。アムネシアってやつだ」