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やっと落ち着きを取り戻した彼女は、急にさっきのことが恥ずかしくなったのかシェルムをまた突き飛ばした。ただし場所は屋上ではなく昨日の海辺の道だったので、さっきのように寿命を縮めるには至らなかった。
「な、何だよ」
正直彼女の扱い方が分からなくてしどろもどろである。
「笑うなら笑えばいいじゃない、さっきの私、みっともなかったでしょ」
逆ギレ?どうしろって言うんだ…
「何があったんだよ」
なるべく普通に聞いてみる。途端に彼女の表情が曇った。また泣くかと思い身構えたが、そうでもなかった。
「お父さんの部屋から荷物を持ち出しちゃったの…お父さん、何か良くないことを考えてるみたい。私、どうにかしようとして」
これは重要なことが知れそうだ。重ね質問する。
「何しようとしてるんだ?」
アキナは首を振った。
「そこまでは。確信が持てないのになんでこんな大胆なことしでかしちゃったのか」
「大胆って、そんな重要な物持ち出したのか?」
彼女はしばし悩んだ後、バッグから大きな封筒を取り出した。開けてこっちに向けて見せる。
灰色の封筒の中に書類の束と小さな鉄の塊が見えた。うぅん?何だそれ。見えにくそうな視線に気づいて、アキナはそれだけ出してみる。
凝った装飾の施された、可愛らしい小さな銃。
それはもしかして… シェルムが思ったのもつかの間、エンジン音が二人に近づいてきた。
それはまさにあっというまの出来事で、よく反応できたなあといつになっても思う。そして、もしそれに反応出来なかったら、奴等と関わることもなかったはず。
次、主要人物出てきます(*´ー`*人*´ー`*)♪