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「僕はあるオーパーツを回収するよう言われてるんだ。君は知らないかい?」
確信犯な笑みを浮かべ少年は問う。少年の言うパーツとは彼が飲み込んだ石に違いない。そしてその質問は少年が何者であるかをはっきりと示していた。
それを探す必要があるのは、組か何かの回し者だ。そしてそれが集団でないのなら、集団よりヤバイかもしれない。
跳ね上がる鼓動を隠してシェルムは答えて見せる。
「古部品?足元でも探してみろ。お望みのパーツがわんさか出てくるはずだ」
頭のてっぺんから冷や汗が噴き出す。今や目の前にたっているのは義足の少年ではなく、シェルムが今最も関わりたくない種類の人物。彼は彼が思っていたよりもずっと早く、その事件に巻き込まれていたのだ。
彼は口元に形だけの笑みを貼り付け、「知らない」を突き通す。
「まあ最も、そんな所から出てきたやつが正常に動くとは思えないけど。」
少年は笑顔を引っ込めて、気の毒そうな表情を作る。シェルムにはそれが偽善的な道徳にしか見えなかった。
「どうしても、持ってないと言い張るのかい?」
心配そうに、探るように少年は確認する。
彼は少年に断ち切るような冷たい視線を返す。
返事はそれだけで十分だった。
「仕方ない」
少年はぬっと彼に手を伸ばした。警戒していたシェルムはその手が届く前に反応することができた。彼は少年に上着を素早く被せ、全力でダッシュする。この程度で撒けるとは端から思っていない。時間稼ぎだ。
前方からやってきた自転車を奪い取り、立ち漕ぎ全開でその場を去る。後ろから自転車の持ち主の罵声が聞こえたが、今はそんなの構ってる場合じゃない。
相手は身体障害者、いくら普通に歩けるとしても、ここまでスピードで差をつけられれば追いかけるのを諦めるだろう。
何だか最近追われてばっかりだな。
シェルムが油断してそんな余計なことを考えていた矢先、その安心は打ち砕かれた。
少年は自転車の彼をしっかり追尾していたのだ。
彼はぎょっとした。少年はまるでローラースケートでもしているように彼の後をついてくる。だがその速度は半端じゃない。木製の足は少し地面から離れた所を捉え、スピードに変える。つまり浮いているのだ!
速さにより後方にフードが飛び、彼の顔全体が日の光に曝される。新雪のように煌めく白髪を見て、シェルムの中に何かが閃いた。
俺は彼、いや、彼女を知っている。
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厨二な設定の子来たよ(゜∀゜)