表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
毒華蝶  作者:
7/10

紫陽花の香[4]



転校生、アニが撫子のクラスにやってきてから2ヶ月


はじめは転校生という珍しさからか、クラスメイトがアニにかまっていると思っていた。

休憩時間は撫子がクラスの中心にいた。

アニが来るまでは。


アニが来てからクラスの中心は撫子からアニへ。

2ヶ月がたった今、撫子の周りには、幼馴染である美咲だけである。


「アニちゃん、すっごいいい子だよね」


美咲の一言が、撫子を黒く染めていく。

既に唯一といってもいい彼女さえも、撫子よりアニを選んでいるかのようにも聞こえる。


撫子より、アニのほうがいい子

アニは何をやっても完璧で、いろいろなことを知っているし、外国人特有のフレンドリーさが、アニの周りを元気にしてくれる。

撫子と一緒にいるのは、幼馴染だから仕方なく。


美咲が言っているわけではないが、撫子にはそう聞こえてしまうのだ。


私があんな女に負けるはずがない。

どうせ、裏では仮面を脱ぎ捨てて、酷いに決まってる。

なぜ、みんなはそれがわからないの。

私のほうがなにもかも優れているというのに。


撫子のココロはドロドロと黒くよどんでいく。


ああ、この世界はなんて汚れてしまったのだろう。

すべて、あの女のせい。

私のための、綺麗な世界を壊した女。

許さない。



撫子がふと我に返ると、そこには見たことのある城門があった。


『貴様の願いはなんじゃ?』


脳裏に金色の瞳がよぎる。

ああ、ここは私のための場所だったのね。


「…お客さん?」


あのときと同じ声が聞こえる。

撫子はこみ上げる笑いを抑えながら言った。



「ええ。

よろしくお願いします」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ