表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここって異世界ですか?  作者: 瑠紆
王都編
50/118

残酷な真実


さて、いきなりですがクイズです。

私が精霊ジェットコースターをしてまで王都に行った理由はなんでしょう。

1、観光

2、調査

3、買い物




答えは2です。

ええ、王都がどうなっているか調査しつつ、情報を集めて、大切なものや人を再確認することで気合いをいれるはずだったんですが…なんでこうなった?







今、私は、いまだにお怒りでいらっしゃるユースケ、固くなってしまっているカイル、キョロキョロとおのぼりさんのように落ち着かない国王様、そして穏やかな表情を浮かべたカイル父とテーブルを囲んでいる。


拠点のホールで。



「いやぁ、凄いなぁ、こんなしっかりした設備の家なんて初めて見たで!要塞やな!ここ住ませてくれへん?」


「陛下、国務がありますからいけませんよ」


「冗談やんか。かたいなぁ、ミヒャエルは」


ヴェルムさん…もとい、国王様が興奮しながら言った発言をカイル父が諌める。

さっき知ったが、カイル父は宰相らしい。

私が持つ宰相のイメージは切れ者でクールか、悪いことばっかしている狸爺という感じだったので、穏やかで優しそうなカイル父が宰相だと聞いた時は驚いた。



閑話休題(それはともかく)




クリスの店で、ヴェルムさんが国王様だと知った私は呆然としていた。

カイルは膝をついたままフリーズしていたし、カイル父はやれやれといった様子で困った顔をしていたし、国王様は楽しそうに笑っていた。


唯一、反応を示さなかったのはユースケのみ。

国王様に会ったことよりも、私に対する怒りの方が大きかったのが理由だと思われる。

終始、怒り顔だったユースケは、すぐさま転移を発動させた。

魂が抜けかけているクリス以外の、全員を連れて。


なぜそんな行動をとったのか聞きたいところではあるが、怒り心頭といった様子のユースケに聞く勇気はない。

少なくとも怒りの原因である私には。

まぁ、恐らく、めんどくさいからとりあえず拠点に連れてきた。といったところだろう。



ちなみに、なぜ国王様と宰相というツートップが冒険者みたいな格好でフラフラしていたのか?という疑問については、御忍びの視察と王宮で起きている異変についての情報収集だったようだ。






二回目の閑話休題。





私とユースケの正体については国王様とカイル父に洗いざらい話した。

もちろん、ユキナのことも。

現実味のない話で、信用してもらえないかとも思ったが、ルミナスとアクアという生き証人がいることもあって、あっけないほどすんなりと受け入れられた。

それでも驚いてはいたが…国王様いわく、「こんな要塞が作れて、化けもんみたいな魔力を持ってる人間なんて、今の世の中にはおらへんわ!」とのことだ。

ちなみに、ルミナスとアクアは、すぐ喧嘩をしそうになって五月蝿いので、カイルの部屋でルナと遊ばせている。


「つまり、シリウスの近くにおるユキナっちゅー少女は嬢ちゃんたちの敵やっちゅーことやな?」


「はい、信じたくなかったんですが…ところで、王宮で起きている異変ってなんなんですか?」


「…殺人や。しかも、体をバラバラにされてのな。」


私が何気なく聞いたことへの国王様の返答に…私は絶句した。


「…ナだ。」


「なんや?えっとユースケくんやったっけ?」


「ユキナだ。恐らく犯人は。」


ユースケが言った名前に私が弾かれたようにユースケを見る。


「そんな!なんでユキナが犯人だって…」


「フィー、言ったよな?ユキナがプレイヤーキラーだったって。」


「…うん」


これ以上聞きたくない。やめて!ユースケ!


「ユキナは笑いながら人をバラバラにして殺す…快楽殺人者だ。」






どれくらい時間がたったんだろう。

皆で何か話し合っていたようだが、何も耳に入らなかった。

国王様とアクア、カイル父をユースケが王都まで送っていくという後ろ姿を、見送りもせずただボーッと見つめていた。


「フィー」


カイルの声が聞こえたと思ったら、背中に人の温もりが当たる。

気付けば後ろからカイルに抱き締められていた。

その温もりがカラカラになった心に沁みて涙がこぼれる。

大声で子供のように泣く私を、カイルは何も言わずに泣き止むまで静かに抱き締めていてくれた。














評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ