表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここって異世界ですか?  作者: 瑠紆
王都編
46/118

ルミナスの日常

ルミナス視点。

メインストーリーとは関係ありません。

嫌な人は飛ばしてください。



妾はルミナス。

光の精霊王じゃ。


妾がこの世界に生まれてから長い年月がたった。

何百年だったか、何千年だったか…もう覚えておらん。

妾はけいさん?というものが苦手なのじゃ。

大きい数字になると訳がわからなくなる。

まあ、それも『ちゃーむぽいんと』というやつなのじゃ。



妾は昔は精霊の谷というところに住んでおった。

精霊王たちは、色んな性格の者がおる。

火のはやんちゃで、風のは礼儀正しく、水のはめんどくさがりで地のは寡黙と、なかなか楽しかったものじゃ。

あ、闇のは、ただの引きこもりじゃ。


だが、150年とちょっと前、楽しく生活しておった妾たちの元へ、魔物の大群が押し寄せてきたんじゃ。

妾たちは戦った。

精霊王たちだけなら倒せる魔物も、下級精霊たちを庇いながらでは、分が悪かった。


一体、また一体と、精霊たちが消滅していくなか、妾や他の精霊王は何も出来んかった。

精霊は消滅しても、マナがあればまた復活できる。

それでも、復活には100年もの時間が掛かるのじゃ。

自分の赤子とも言える下級精霊が消えていくのを見ているのは、辛いものじゃった。




だが、その時、救世主が現れたのじゃ。

それが、妾の主様じゃ。

綺麗な長い黒髪をなびかせながら、剣と魔法で魔物を倒していく姿は、人間が信仰しておる女神のようで、妾たちはその姿に見惚れたものじゃ。


一時間もたった頃には、魔物は一体残らず屍となっておった。


最後の魔物を倒した主様は、妾たちのほうに振り向いて「大丈夫だった?」と声をかけてくれたものの、妾は主様の吸い込まれそうな紫の瞳にとらわれておった。




妾が我に返った時には、他の精霊王たちが、主様の争奪戦を繰り広げておった。

いつもはオドオドしておる闇のまで争奪戦に加わっておるのに驚きながら、妾もそれに加わって、めでたく主様と契約できる権利を勝ち取ったのじゃ!


だいたい、引きこもりや四精霊王ごときが、妾に挑むことが無謀なのじゃ!

きっちり、じゃんけんでけりをつけてやったぞ。

少し、後出しというズルもしたがの。



それはともかく、主様と無事契約を結んだ妾は、毎日幸せだった。

今まで、楽しいと感じていたものが霞むほど、楽しい日々だったのじゃ。



それが、あの日、ちょうど主様に作って貰った砂糖菓子を手に、精霊の谷へ着いた時、今まで感じていた主様の魔力が消えた。

妾は慌てた。

主様が死んでしまったのではないかと。

だが、人間が死ぬとき、魔力は少しずつ大地に返る。

死んでしまっても、いきなり魔力が途切れることなどないのじゃ。



妾は主様を探した。

150年間、毎日、主様の魔力を探した。

だが、見付からなかった。

そんな日が続いたある日、懐かしい魔力を感じたのじゃ。


探し続けた、主様の魔力!

間違えるはずもない暖かい魔力!

妾は歓喜した。

じゃが、もしかしたら、主様は妾を捨てたのではないか?妾が要らなくなったのではないか?という気持ちが生まれた。

妾は、すぐにでも主様のもとへ飛んでいきたい気持ちを抑えて、主様の魔力の場所から一番近くにいるウィンディに言付けを頼むことにしたのじゃ。




その後、主様は妾を迎えに谷まで来てくれた。

なんか、おまけもおったが、妾は嬉しかった。

そのおまけのドラとも仲良くなったし、今となってはいいんじゃがな。

とにかく、また主様と一緒に居られることになって、妾は幸せじゃった。



だが、そんな幸せな毎日を過ごす妾たちの元に、不届きものが現れたのじゃ。

今まで感じたことのない、禍々しい魔力をもち、妾の大事な主様を脅かす、男が。


妾はその不届きものの情報を集めるために、精霊たちに聞いてまわった。

じゃが…何もわからんかった。


落ち込んで、拠点へと戻った妾に、主様は「気にしなくていい」といってくれた。

でも、妾は、主様の役にたてなかったことが寂しかったのじゃ。


主様は妾に幸せをくれる。

でも、妾は…主様になにもあげることができん。



妾だって、主様の役にたちたいのじゃ!



ユースケ殿に相談すると、主様が喜ぶことをすればいいと言われた。



主様が喜ぶこととはなんじゃ?



そういえば、主様は美味しいものを食べているときが幸せそうなのじゃ!

それに、「拠点は広いから掃除が大変だよ。」と言っておった!



それならば、妾が御飯を作って、掃除もすれば、主様は喜んでくれるのではないか?


妾は天才じゃ!

そうと決まれば主様が眠っている間にエプロンを作らねば!

食事の作り方と、掃除の仕方はユースケ殿に教えてもらえばいいのじゃ。


よし、頑張るのじゃー!






夜の間に作ったエプロンを着けて、ユースケ殿を起こしに向かう。

主様が起きる前に、ユースケ殿に朝御飯の作り方を教えてもらわなければ…。



起きてきた主様に朝御飯を出すと、驚いた顔をしながら全部食べてくれたのじゃ。

『めだまやき』というのが少し焦げてしまったものの、はじめてにしてはうまくできたと思うのじゃ!

と言うと、主様が頭を撫でてくれた。

妾は、主様に頭を撫でられるのが大好きなのじゃ。

これは、主様に喜んで貰えているのではないか?掴みはバッチリなのじゃ!



それから約二ヶ月、毎日のようにユースケ殿に料理を教えて貰って、いろんな御飯が作れるようになった。

それでも、主様が作ってくれた御飯にはまだまだかなわないのじゃ。




主様!

妾はいつか美味しいものを作れるように、日々頑張るのじゃ!

もちろん、掃除も手を抜かないように。



だから…

もう居なくならないで欲しいのじゃ。

妾は主様と居られないなら、消滅してもいいのじゃ。

妾の契約者は、永久(とわ)に主様だけ。

だからどうか、主様の命が尽きるまで側に。





あ、そろそろ主様が帰ってくる時間なのじゃ!

主様!今日のメニューは『みーとすぱげてぃー』なのじゃー!



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ