ここはどこですか?
今から3年前、絶大な人気を誇っていたゲームが終わりを迎えた。
タイトルは【ユグドラシル】、ありきたりな名前だが、今までのゲームとは一線を画した完全なる『仮想現実』VRMMO。脳に直接信号を送ることで人間の五感全ての再現を可能にし、人々を魅了した。
かくいう私もその一人。
時間が過ぎるのも忘れ、のめり込み、レベル上げ、新しいエリアの攻略に勤しんだ。
その時のキャラクター『フィー』、現実の自分をベースに作った19歳人族、自分をベースにしたといっても、化粧をした自分を基準にしたので、目は自分よりも大きく、瞳は紫。まつ毛は長くなってる。ちなみにレベルはカンスト済みだ。
ゲーム時代はナンパや告白はしょっちゅうだった。
目を変えただけでここまで、反応が違うのかと、当時は物悲しくなったものだ。
つまり、美少女なのである。
「な、何でフィー?いや、確かにあれだけ歩いても全然疲れなかったし、良く見たら服も初期装備のにそっくりだし、あ、あの地図もユグドラシルのマップにそっくりだわ。はぁ、むしろ、なんで気付かなかったかな~」
「いや、それよりも、どこまでフィーなのか調べないと。とりあえずステータスオープン」
『フィー』人族
Age 19
Level 999
HP 2650/3000
MP 4000/4000
「うん、チートなことはわかった。」
レベルを見て、思わずステータスを閉じる。
「あ、装備はどぅなってんだろ」
装備 初心者の服
「やっぱり初心者の服だったか。たしかアイテムボックスに何か入ってた気がするんだよね」
ガサゴソガサゴソ
「あったあった!これにしよう」
アイテムボックスにしまってあった、キュロットと麻シャツに木のかげで着替え、腕輪をつける。
こんな服でもその辺の鎧には負けない、物理攻撃30%無効の自作品である。
腕輪に至っては、防御結界に状態異常無効、攻撃力5%付加の一品で、カンストレベルが付ければ、恐いものなしとまで言われた、課金ガチャのレアアイテムである。
「げ、剣がない?!あ、修理に出したままだったか。でも、まだユグドラシルかどうかはっきりしてないなら、どっちにしても武器は装備しないほうが、いいよね。日本なら銃刀法違反で捕まっちゃうよ。うん。何かあったら魔法で対応しよう。魔法使えるのかな。。。」
「よし、やってみよう、えっとまずはファイア」
ゴォッ
「ヤバいヤバい、ウォータ」
あわや山火事の危機だった。




