表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここって異世界ですか?  作者: 瑠紆
王都編
2/118

私は誰ですか?

チュンチュン

鳥の鳴き声で目が覚める。


「うーん、いい天気」

座って眠った為に、体が痛い。それを改善しようと小屋の入り口に立ち、勢いよく伸びをした。

昨日残しておいた、青林檎もどきを食べながら、今日の予定をたてる。


「何はともあれ、なんとかして森から出ないとね、近くに村とかあればいいんだけどなー、富士の樹海とかじゃないことを祈るのみよね」


独り言を言いながら、朝のストレッチをする。もし、途中で動物に出会ったら、全力で逃げなければならないので、いつもより念入りに体をほぐしていく。

近くの大木の下で青林檎もどきを2つ頂戴して、準備は万端だ。


「ホントはもうちょっと予備の食糧がほしいんだけどな。ポケットしか入れるとこないし、仕方無いか。よし、しゅっぱーつ!」







ザクッザクッ

歩くたびに枯れ葉を踏む音がする。

木々の隙間から日が差し込み、聞こえるのは鳥の囀りと、葉を踏む音だけだ。


「のどかだね~。歩けば森を抜けられると思ったけど、まだ先は長そうだなぁ」


もう体感的には1時間程歩いただろうか。未だ森の先は見えず、ひたすら歩くことしばらく、単調だった音に変化があった。

立ち止まって耳をすませてみると、確かに水の音が聞こえる。

音が聞こえるほうに進むと、森のひらけたところに小川があった。



「やった!水だ!」

小川を見つけるや否や、小走りで川縁まで急ぐ。昨日から水を飲んでいないのだ。カラカラの喉を潤すため、手で水を掬い一口、口に含んでみる。


「おいしい!飲める水でよかった」


何度も水を掬いあげ、喉を潤し、顔を洗おうと思って水面を見た瞬間、動きがとまる。



「え、ちょっと待ってよ!これ誰?」



水面にうつる自分の顔を見て思わず零れる驚愕の言葉。

それもそのはずだった。水面に映し出された顔は、馴染みぶかい自分の顔ではなかったからだ。



おそるおそる水面に顔を近づけ、もう一度観察してみる。確かに自分の顔ではない。だが、全く知らない顔でもない。

頭の中では答えは出ている。ただ、そんなことはあり得ない、と認めていないだけ。


「フィー」



力なく無意識に言葉が零れ落ちた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ