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ここって異世界ですか?  作者: 瑠紆
王都編
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旅路での葛藤

王都を出発して約7時間。途中軽い昼食を取った時以外はずっと歩き続けている。



「カイル体は平気?」


「ああ、大丈夫だ。」


「でも、そろそろ夜営出来る場所を捜そうか。」


「ああ、そうだな。もう少し歩けばヨルグの森が見えるはずだ。森の入り口で夜営の準備をしよう。」


ヨルグの森の入り口で夜営の準備を始める。


「カイル、薪をとってきて貰っていい?」


「わかった。」


「その間に下拵えしとくからね!」


カイルはニッコリ笑うと薪を取りに森へ向かった。

私は買っておいた鶏肉を取り出し、錬金で作った包丁で一口大に切っていく。

ドライトマトも細かく刻み、使うハーブを選り分けたところでカイルが帰ってきた。


「お帰りー」


「おう。」


カイルから薪を受け取り、さあどうしたものかと、悩み出す。ウーンウーンと唸っていると私を見ていたカイルが不思議そうな顔で尋ねてくる。


「どうかしたのか?」


「いや、実はね、どうやって火をおこそうか考えてて」


私がそう言うと、カイルが可哀想な子を見るような目で私を見つめている。


「そんな目で見ないでよ!」


「すまん。だが魔法で火を出せばいいだろう。」


「それはごもっともなんだけど、私がやると下級魔法でも山火事レベルのが出来上がっちゃうんだよね」


「はぁ?どこまで規格外なんだよ、お前は。まぁいい、俺の持ってる火付け石を使え、ホレ」


呆れた顔して火付け石を投げられる。

それを難なくキャッチすると火をおこすべく火付け石を打った。

錬金で作った鍋に水を入れようとして、鍋を夜営地から離れたところに置く。

準備は万端だ。

腕輪を外したところでカイルに

「おい、フィー、何をする気だ!」

と止められる。


「え?鍋に水を入れるんだよ?ちょっと出すぎちゃうから離れたところに鍋を置いたの」


「そうか、もう何も言わん。好きにしてくれ。」


呆れたようなカイルから許可を貰ったところで魔法を使った。


「ウォータ!」


ザッバーン!!

鍋に水が入ったのが嬉しくて振り向いたらカイルが頭を押さえていた。


無事に鍋に水が入ったので料理の続きを始める。

今日は野菜と鶏肉のトマトスープとパンだ。


「カイルできたよー!」


「おう食うか!」


「「いただきます」」


「「ごちそうさまでした!」」


「旨かった!そういや、今更だが何で精霊の谷へ行くんだ?」


「あー、ちょっとうちの子が拗ねててね、迎えにいくの。」


「???精霊を迎えにいくのか?」


「うん、契約してる子が拗ねちゃってね、迎えに来るのを待ってるみたいだから。」


「ちょ、おまえ精霊と契約してるのか?」


「だから、そうだってば!ルミナスって子なんだけどね、拗ねると長いのよ。可愛いんだけどね!」


「フィー、まさかとは思うが、光の精霊王じゃないよな?」


「どうしたの?怖い顔して。ルミナスって光の精霊王に決まってるじゃない!」


「フィー、前から思ってたんだが、お前は常識が無さすぎる!光の精霊王と契約出来ることもそうだが、魔法でも一流、剣でも一流、誰でも知ってるような事を知らないと思えば、誰も知らないような事を当たり前のように話す。その歳であまりにも異常が目立つ。フィー、お前は何者なんだ?」





「ごめん、一晩考えさせて。」


「わかった。今晩は俺が外で周囲を警戒しておく。」


「うん、ごめん。」


「フィー、俺はお前を否定しない。」





どうやって説明すればいいのだろう。

ここはゲームの世界なのだと、あなたたちの先祖はNPCなのだと言えばいいのだろうか?

いや、アイテムボックスが珍しいと言っていた。

珍しいということは全くないわけじゃない。

もしかしたらプレイヤーが先祖なのかもしれない。

でもどうやって。

駄目だ。何もわからない。

分かっているのは、この世界は現実だということだけ。

傷つけば血も出るし、デスペナだけで生き返ったりもしない。

150年前の人間だという私は明らかに異端だ。

いっそのこと全部話してしまおうか。

そしたら傷つくかもしれない。

誰が?カイルが?それとも私が?


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