表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

02

一緒に寝る・・・



つまり



男女が同じベッドで一緒に寝るって、そういうことでしょうか?


問題ないでしょ、と家主さんはご機嫌です。



バクバクしています。心臓が。


頬も熱いし、家主さんの手も妙に熱く感じます。




急展開です。


確かに私は家主さんが好きです。


ええ


もう


大好きです!


確かに、手も出してもらえないことに涙したこともあります。


けれど、今宵。


いきなりそんな事に及ぶなんて!


想像の範疇を越しています。動機が激しいです。


ちら、と家主さんを見ると、相変わらずにこにこと笑っています。


何だかその笑顔を見ていると邪な気持ちなんて、1ミリだってないように思えてきます。


好きです。


家主さんのにこにこ笑顔。見てるだけでこんなに幸せになれるんです。


「・・髪、乾きましたね」


「うん、ありがとう」


照れますけど、やっぱり家主さんのこと大好きなので、そうなっても全然構わないな、なんて思っちゃいました。


『好きだったら、自然とそうゆー気持ちになるんだよ』

中3にして男女の愛について語っていた親友の言葉を思い出します。


当時はそんな気持ち理解できないと、おませさんな親友を非難しましたが、今なら分かります。


彼女に会うことは・・・この先叶わないかもしれませんが、もしまた会えたらやっと彼女に追いついたことを報告しなければ。








* * * * * * * * *






チュンチュン

ピーピー


森の中にある家の朝に小鳥の囀りはセットなのです。


朝日が窓から差し込んで、今日も爽やかな気持ちの良い朝です。



「おはよう」


「おはようございます」


至近距離の家主さんの顔にどきどきします。


まだちょっとだけまどろんでいる家主さん。可愛いです。


じぃっと家主さんを見ていると、クスっと笑われました。


首を傾げると、家主さんがスンスンと首もとの匂いを嗅いできます。


は、恥ずかしいです。


「良い匂い」


「そ、そうですか?」


非常に恥ずかしいですが、良い匂いと言われれば嬉しいものです。


「でも、家主さんの方がいい匂いですよ?」


そう思います。


クンクン匂いをかいた訳じゃないですが、近寄られると家主さんからはとても良い匂いがします。


お日様の匂い。


「そう?」


「はい」


頷くと、家主さんは嬉しそうに笑いました。



爽やかな朝です。


爽やか過ぎる朝です。


男女の色めいた空気など全く存在しません。



はい。


何もありませんでした。



よく眠れた?と聞かれて、はい、答えましたが、嘘です。


悶々としてあまり眠れませんでした。


ベッドに腰掛けたときには緊張でぶっ倒れるかと思いましたが、寝ないの?と聞かれ慌ててベッドの中に潜り込みました。


私の浅い知識では、だいたいそういうことは、キスをして押し倒す、的な流れがあるとおもっていたのですが・・・・


一人身構えていた自分が、たまらなく恥ずかしかったです。


それでも、隣に家主さんが寝たときには、もう心臓の音が家主さんに聞こえているんじゃないかというほどドキドキしていました。


普段は横向きに寝る癖に、家主さんのほうを見るのは恥ずかしい、背を向けるのは失礼かな、と悩んだ結果仰向けに寝ていたのですが、暫くして聞こえてきたのは家主さんの規則正しい寝息でした。


横を向くと、家主さんも仰向けでお行儀良く寝ていました。





つまり


一人勘違いをしていた訳です。


私ったら一緒に寝るというだけで、一人破廉恥な想像をしていたのです。


穴があったら入りたい、とはこのことです。


据え膳食わぬは男の恥、といいますが、私据え膳でもなんでもなかったみたいです。


ぐすん


恥ずかしいやら悲しいやら切ないやら


眠れない夜を過ごしました。




いえ、

結果的に私も寝てしまったのですが。




それから、いつも通り朝食をとりました。


そして、いつも通り、家主さんは薬草摘みに出かけていきました。



いつも通り。



ちなみに家主さんが外にでている間は、お留守番です。


外は危険がいっぱいなので、外にはでないこと、と約束しています。


確かにふらふら森に足を踏み入れて迷ったりしたら大変です。


家主さんがいなくなった家で、掃除をしながら、私はため息を吐きました。


据え膳にもなれなかった身の上について、です。



私、昨日家主さんにぎゅっと抱きしめてもらって、おかえりって言ってもらったとき、気持ちが通じたと思いました。


もう天にも昇る気持ちでした。


けれど、思い出してみると、「好き」とは一言も言われていません。


家主さんはどんな気持ちでおかえりと言ったのでしょうか?






・・・家族として?



そう考えると、もうピッタリな気がしてなりません。


好き、とも言われていなければ、異性としても扱われていない。


それって、家族に近い存在なのかもしれません。













どうしましょう



私ったら家主さんも自分と同じ気持ちだって、


大変な勘違いをしていたのかもしれません。



















主人公、家主さんのこと、そのまま家主さんと呼んでます。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ