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新釈古事記伝  作者: りんたろう


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33.天津神の降臨〜ニニギ その7〜

ニギハヤヒをタカミムスビの息子から孫に変更しました。

この後、前にさかのぼって直していきます。申し訳ありません<(_ _)>

 その日の夜中の打ち合わせ前。

 ニニギはご機嫌だった。なんせ鷹のアキヒコだけでなく、他の鳥たちの子供の中にも、言葉が話せて長寿の子が見つかったのだ。ただすべての子供がそうなわけでなく、約3割ほどであった。更に子供の子供、アキヒコたちから見て孫の世代以降は皆無であることがわかった。また、呪い(まじない)がかけられた者同士だと卵が生まれるものの、孵化したことがないとのことだった。ただ、卵は生きていた。わが子である卵を見限ることができず、一箇所に集め、交代で長い間見守っているとのことであった。キビヒコは気づかなかったことに申し訳なさでいっぱいの顔をしていたが、我らが諦められなかったのですと、アキヒコに慰められていた。

 その卵たちは確かに生きていた。ニニギが近づくと一つの卵がくるりと回転し、ニニギの心は一瞬で奪われた。親が来ると嬉しいのか動くことがあるが、それ以外で動いたのは初めてだと言われ、離れがたい気持ちになった。そして卵の親であるセキレイに頼み込み、大切に見守り続けると約束して譲ってもらったのだった。

「じゃ、打ち合わせに行ってくるからね。」

 ニニギは自室に小さな籠を用意し、羊の毛と柔らかい布でセキレイの卵の寝台を作った。その中央にそっと卵を置き、軽くつついた。

「皆に、お前をどうやったら孵化させられるか相談してくるね。

 うーん、お前っていうのも何だな・・・。名前をつけよっか。そうだ!ゴマみたいな模様だから、ゴーマにしよう!ゴーマ、行ってくるから大人しく待っていてね。」

 もう一度卵をつつくとニニギは打ち合わせに向かった。


 ◇


 今夜の打ち合わせには、ウワハルとシタハルも参加であった。

 通信が繋がると画面いっぱいにウワハルの顔が広がった。

「ちょっと、キビヒコはどうしているの?」

「ウワハル殿、お元気そうで何より。キビヒコは、あなたがすぐに戻って来れないと聞いて寂しそううだ。待っていますと伝えてくれと言われたよ。シタハル殿、ナガスネヒコからはますます年を取ってしまう前に戻ってきてくれだって。」

 キビヒコからの伝言に涙ぐむウワハルの後ろからシタハルが画面をのぞき込み、泣くのを我慢している顔でひらひらと手を振った。

「では、本日は転生による魂魄の浄化について話そう。本来は、私達と相談後にウワハルたちが地上に戻り、呪いを掛けて監視を行う鳥たちを増やして組織的に進める予定であった。ウワハルたちが地上に戻れないことから、鳥に呪いがかけられない状況だ。そちらの考えや希望を聞かせてくれ。」

 オモイカネの問いかけに、ニニギがにやりと笑って前に出た。

「オモイカネ様、実は呪いを掛けられた鳥たちの子供の中に、言葉を話し長寿なものがいることが分かったのです!」

「え!本当なの?」オモイカネよりも先にウワハルが反応した。

「はい、本日、子や孫の世代を探し回ったのですが、子の世代で3割程度にその様な者がいることがわかりました。ただ、孫の世代は今の所見つけられませんでした。」

「それは朗報だわ!全体でどれだけいるの?」

「ウワハル様が直接呪いを掛けた鳥たちが、6種類で30羽、その子供の世代が30羽です。そして、子の世代というのは、呪いを掛けられた鳥と、普通の鳥の間に生まれた子供たちになります。」

「合わせて60羽ね。何かできそうな数じゃない!これからも子供を増やせばいいってことじゃないの?」

「それが先ほど申し上げたように、およそ3割程度の子供しか長寿にならないのです。しかも呪いを掛けられた直後に、番がいた者たちが産んだ子供になります。その番が亡くなってしまって以降、言葉を習得したことによる感覚の違いから、普通の鳥と番うこと自体が難しくなってしまったそうです。」

「では、呪いがかけられた鳥同士で番えばいいのでは?」

「それがまた問題なのです。呪いがかけられた鳥同士だと、卵は生まれるものの孵化しないのです。卵自体は生きていて・・・。その卵たちは一か所に集められて、長い間見守り続けているそうです。」

「本当に生きてるの?」

「はい、生きていて、親が来ると嬉しいらしくてくるくる回ったりするそうです。実は僕も回っているのを見ました。」

「え、卵が動くの?」

「はい、親以外で動いたのは初めてと言われたのもあって、どうしても一緒にいたくてその卵を譲ってもらいました。ゴマのような模様があるので、ゴーマと名付けました。ウワハル様、ゴーマを孵化させる方法はないのでしょうか?」

「・・・ゴーマ。ぐふっ、ご、ごめん、でもメスだったら?・・・ゴマ子?ふふふっ、ごほっ、だめだ、わらいがっ!」大人しく話を聞いていたツクヨミが隅っこで爆笑していた。

 ニニギのネーミングセンスへのツクヨミの突っ込みに、皆つられて笑い始めてしまった。

 恨めしそうなニニギを見て、気を取り直したウワハルが咳払いをして話を進めた。

「わ、わたしは良いと思うわよ、ゴーマ。ニニギ殿が直感で付けたんだからきっと男の子だと思うし、強そうじゃない。えーっと、ゴーマを孵化させる方法ね。すぐには思いつかないし、試行錯誤がある程度必要だと思うの。持ち帰って検討するわ。」

「そ、そうだな、俺もいいと思うぞ、ゴーマ。

 で、こちらとしてはある程度の頭数がそろったので、少しづつ魂魄の浄化を行おうと思う。ニニギから言われたのだが、少数の魂魄の転生なら、じっくり観察ができるから、浄化の条件を検討するのに向いているのではないかと。」スサノオも笑いを我慢した。

「なるほど!確かにそう考えることもできるな。」とオモイカネ、ツクヨミ、スサオミ。

「さすがニニギね!」とアマテラス。

「本当にその通りだわ!」とウワハルとシタハルも頷きあった。

「では、こちらでこじんまりとだが組織を結成して進めてもよろしいでしょうか?転生の実施と追跡についてはキビヒコを責任者にしたいと思います。得られた情報の分析はニニギを中心にキビヒコを補佐にしたらいいかと。ニニギは、通常は因幡とオオクニヌシとオニムカデ退治に回るので、定期的に帰還して分析にあたる形にしたいと思います。俺は今まで通り根の国を守りつつ葦国中原の裏方をし、ニギハヤヒ殿の息子のウマシマジ殿に表をお任せしたいと思います。ナガスネヒコがウマシマジ殿の補佐をすれば問題はないと思います。」 

「うん、確かにざっとそんな感じでいいと思うよ。スサノオ、ちゃんと考えてくれたんだね。」

「本当だよね。地上に行ってしっかりしたよね。(嘘)追放は大正解だったね。」

 鏡の向こうで、皆がうんうんと頷きあっていた。

「・・・お褒めに預かり光栄です。かなり複雑な気持ちですが・・・。

 ところで、ニギハヤヒはどうしていますか?帰還後に会ったりしましたか?」

「それがね、あの騒動で親族たちが心配して、すぐに各自の屋敷に連れ帰っちゃったんだよ。当然と言えば当然だけどね。ニギハヤヒ殿も祖父であるタカミムスビ様がさっさとお屋敷に連れ帰られてね。一言も話ができなかった。まだあの騒動から3日ほどしかたっていないからしょうがないかもしれないが・・・。明後日あたりにでもお目にかかれないか伺ってみよう。」

 オモイカネも心配そうであった。

「ところで、ニギハヤヒ殿とご子息のウマシマジ殿はどこまで我らのことを知っておられるのかな?」

スサオミが今更だけど、はっきりさせておこうと言った。

「当初、タカミムスビ様とのつながりからニギハヤヒ殿にも警戒するようにと言われたいたので、俺達のことは全くお知らせしていない。だから魂魄の浄化については知らないはずだ。ニギハヤヒ殿の妻は、俺達の仲間であるキビヒコ達の妹だが、夫婦になった時点で我らの動向や情報には関われないようにした。本人には、今まで知りえたことについて口止めをしたし、一応監視もつけている。ただ、ニギハヤヒ殿は賢いから何かを察しているかもしれない。だがそれについて一切触れることはなかった。ウマシマジ殿についても同じだ。」

「なるほど。そのまま受け取ると、ニギハヤヒ殿は我らの目的や動向は知らなくとも、我らの味方、少なくとも我らに不利になることはされないと思って良いということだね。高天原への報告でも怪しいところは全く見られなかった。」

そうですよね?とスサオミはオモイカネに振った。

「そうだな、我らの味方であると同時に、ご自身の家族を危険にさらしたくなかったのかもしれない。知らないことであれば、我らと敵のどちらが勝っても命に係わる可能性は低くなるからな。

 スサノオ、ニギハヤヒ殿のご家族には、引き続き、表向きのことのみをお任せするように。仲間に入れようと思ってはいけないよ。」

「わかりました。ニギハヤヒ殿のご家族をお守りするためにも、そのようにいたします。」

スサノオは、大きく頷いた。


「では、今日はこの辺りでお終いかしらね。しばらくは用心のためにも通信を控えましょう。次はそうね、1か月後でどうかしら?」

 アマテラスの提案に、皆口々に賛同した。

「じゃ、通信切る前に、何か言っておきたい人はいるかしら?」

「私は、キビヒコに身体に気をつけてねって。」「僕は、ナガスネヒコに身体鍛えろよって。」

 ウワハルとシタハルが絶対に忘れないでねとスサノオに念を押した。

「じゃ、俺はもし伝えられるのであれば、白鰐のお姫様に、因幡は元気ですって伝えてほしい。あと、ニギハヤヒにお前の息子は立派にやってるぞって。」

「わかった、必ず伝えよう。」ツクヨミが請け負い、オモイカネも頷いた。


 ◇


 打ち合わせが終わり、ニニギは自分の部屋へと急いだ。

「ただいま~ゴーマくん!」

 ご機嫌で扉を開けた。

「おかえりなさ~い!」

 かわいらしい声と共に、手のひらサイズの小さな何かが顔に張り付き、ニニギは硬直した。

明日もよろしくお願いします<(_ _)>

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