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新釈古事記伝  作者: りんたろう


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28.とある神の思惑 その3

 降臨した天津神たちが帰ってきた


 帰還の際にあの兎が地上の落ち、白鰐の男が行方知れずになったことで高天原は再び完全封鎖となった。地上に戻るつもりでいた天津神たちも戻れなくなった。めでたいことだ。

 

 そもそも地上に戻りたいとか、ましてや人と縁づくなど理解ができない。諍いの仲裁やオニムカデ退治に疲れたに違いない。高天原で身体と心を休めてみれば自分たちの勘違いに気が付くだろう。


 兎に上手い事石を渡した白鰐の男は兎が落ちた騒ぎに紛れて屋敷に押しかけてきた。自分のやったことを知られたくないと、こっそり忍び込むところがまったく小物だ。兎を助けてやってくれ、高天原にもどしてやってくれと、涙を流していた。

 どうにもならないと、兎はもう天津神ですらないのだからと告げるとこの世の終わりのような顔をした。

 喜べ、望みが叶ったのだ、今後は姫と供に私が思う世界のために尽くせと言うと、ふらりと立ち上がり帰るそぶりを見せた。何処に行くのかと問うと、あろうことか白鰐の姫に罪を告白すると言い出した。罪ではない、私の思う世界のための礎なのだと諭したが、申し訳ございませんと繰り返す。

 致し方ないので私の神力で拘束し、屋敷の地下に閉じ込めた。私に敵うはずもないのに随分と抵抗を見せたので痛めつけたら、小さな白トカゲになってしまった。地下で暮らすにはちょうど良かろう。しかし、もう少し役に立ってくれるかと思ったのに⋯。この程度の願望だったのかとがっかりする。ペラペラと誰かに懺悔する前に始末できたのを幸運だったと思うことにしよう。


  ◇


 さて、私にとっての今回の降臨だが、目的は達成したといえるだろう。

 地上は、オニムカデの毒の影響で諍いと戦に満ち、人も国津神は更に数を減らしていってる。人や国津神以外の生き物にも多少影響が出てしまったが、増えすぎた魂魄を減らすためだ、致し方がない。

 根の国に神もその代理も居ないこともわかった。地上に天津神の手駒を作ることは叶わなかったが、猛烈に繁殖し続けているオニムカデが肩代わりとなるだろう。

 一つ問題は起きた。スサノオやニギハヤヒが、国津神や人の血が濃い者たちと子をなしたことだ。地上に天津神の血が分け与えられることが許せなくて帰還を早める手助けをし、かつ再びの完全封鎖にこぎ着けた。そして、血を分けられ生まれた者たちを滅せねばと。だがもっといいことを思いついた。手を下さずとも罰を与えられるよい方法を。

 我ら天津神は強靭な上に不老の肉体を持ち、死後も見目の色が変われどそのまま甦る。すなわち、ほぼ永遠と言える命を生きる。強靭な精神を持ち、多数の同胞がいるからこそ過ごせる日常だ。これを天津神の血を分け与えられただけの地上の者が耐えられるのか?

 そもそも純粋な天津神とそれ以外の者との間では子が生まれることは、ほぼない。スサノオの子もニギハヤヒの子も一人だ。そして現在、地上にいる天津神はスサノオとニニギのみ。天に帰還した天津神は戻らない。この先、子供は片手程しか存在しないだろう。つまり周りのほとんどが自分を置いて死んでいくのだ。

 自分をその様な存在に生んだ親である天津神をどう思うだろう?親となる天津神はどう思うだろう?···恨み、罪悪感、後悔。自身の行いの結果に罰せられるのだ。私はそれをただ眺めて待てば良い。


 長い時をかけ、辛抱強く、ゆっくりと手を回してきた。少々疲れたが、もう少しだと眉間を揉んだ。

ありがとうございます!

明日は更新をお休みしますm(_ _;)m

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