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新釈古事記伝  作者: りんたろう
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19.とある神の思惑 その2

 イザナギが天岩戸に引きこもった。

 不肖の息子を恥じて自主的に謹慎とのことだったが、何かを企んでいるのだろう。

 しかし新たな手を打つということは隙もできるというものだ。


 イザナギの謹慎は高天原の神々に息子への愛を感じだせる美談として認識されていった。だが、だれか一人が”アマテラス様に続いて父君であるイザナギ様まで・・・”と困惑気味に呟けば、謹慎への不満と心配がある程度生まれる。


 地上では、鬼たちに”神生みと国生みの神が引きこもられた。もう神も国も生まれやしない”と草葉の陰から囁かせた。人の欲と不安はあっという間に掻き立てられ、あちらこちらで神と国の奪い合いが始まった。まぁ、神といっても国津神だが。


 そのような状況で天津神の降臨の提案が起きるのは自然であり、受け入れるほかないものだ。そして降臨した天津神が根の国のイザナミに会いに行くのもごく自然だ。


 スサノオ以外の天津神が根の国に招き入れられる以上、あの忌々しい周辺の結界が弱まると考え、ひときわ巨大なオニムカデを送り込んだ。

 目的は二つ。根の国の内部を覗くことと、オニムカデの毒によって幾人かの天津神を操り手ゴマとすること。


 結界が思ったよりも弱っていなく、オニムカデは体を引きちぎられ、威力不足となってしまったようだった。だが内部はある程度見え、イザナミと呼ばれている存在も確認できたが、あれは神力で維持した単なる人形だ。誰かがいるわけではなかった。

 スサノオの迅速な対応のせいで、オニムカデの粉は天津神たちに吸われる前に封じ込められてしまったらしい。ニギハヤヒからの報告で高天原の天津神たちが“マザコンとはいえ、さすがスサノオ様だな”と湧いているのを聞き、心の中で歯噛みをした。

 まぁいい。ニギハヤヒにトゲを刺せたのだから。ニギハヤヒは人当たりがいいうえに神力も最強レベルだ。あれを足掛かりに手ゴマを増やしていこう。オニムカデの粉を吸わなかったと申告してもそこは未知の粉だ。影響の有無が見定められるまで、あるいは完璧にすべてを浄化できるすべが見つかるまで、天津神たちは地上に留め置かれるというもの。地上の檻の中であれば逃げ場もなかろう。

 そう考えて留飲を下げた。


 だが、思ったようにいかなかったのだ。

 ニギハヤヒを操ることができない。

 確かにトゲが刺さったはずなのに。

 それに気が付いたときにはオモイカネからの提案で高天原が完全封鎖をされてしまい、確認に行くことはできなくなっていた。


 そんな中、不幸中の幸いであったのがオニムカデの繁殖力と毒素の力だった。

 根の国へ巨大なオニムカデを送り込んだ際、すべてのオニムカデと鬼を解放したのだが、ムカデどもはあちらこちらで爆発的に増えた。

 さらにその毒素が素晴らしかった。魂魄に染み付き、凶暴で狡猾な性質に変えるのだ。


 長らくその影響に気が付かなかったスサノオたちは、毒素の染みついた魂魄を随分と転生させてしまった。これではいくら天津神たちが頑張っても争いは静まらず、人間と国津神は減っていくことだろう。

 アマテラスが開発すると言っていたすべてを浄化する道具とやらもすぐにはできない。

 ほおっておくだけで望む世界が実現しそうだとほくそ笑んだ。


 だが、そんな中で許せないことが起きた。

 地上に留め置かれた天津神たちが国津神や人間を娶り始めたのだ。

 あろうことかスサノオやニギハヤヒまで!!

 これ以上、我らの血をあやつらに分け与えるわけにはいかない。

 早々に天津神たちを高天原に戻さねば。  


 アマテラスによる道具の開発が進むように"手助け”をしてやろう。

 そして、我らの血をかすめ取り、生まれてきた存在には罰を与えねば。

 さて、鳥を呼んで因幡に渡したのと同じこの石をアマテラスの屋敷に放り込ませるか。

 強力な浄化作用がある特別な石だ。

 ただ、石と石がぶつかり合うと大変だろうな。

 試したことはないけれど。

短めです(;^_^A

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