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新釈古事記伝  作者: りんたろう
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2.黄泉国の反乱

 どうゆうことなのだ?

 イザナギノミコトは突然異形(いぎょう)に変化した黄泉軍と大ムカデから逃げながら考えていた。


 国生みと神生みを行うために生まれてきたイザナギノミコトとイザナミノミコトは、仲睦まじい夫婦神であった。

 火の神を生む際に、妻のイザナミが大やけどを負い、命を落として黄泉国に行ってしまったとき、イザナギは半身を削り取られた悲しみで心が止まってしまった。

 哀れに思ったのか、幼馴染の知恵の神であるオモイカネノミコトはイザナギに、黄泉国への道を教え、イザナミを迎えに行ってこいと背中を押してくれた。高天原に降り立った天津神と名乗る我々は、生死に関係なく定められた能力を発揮できることから、一度黄泉国にいったとしても、イザナミには国生みと神生みができ、世界のためになると。

 生死の(ことわり)に背くことからイザナミを迎えに行くことを躊躇(ちゅうちょ)していたイザナギは大義名分ができたと喜び、黄泉国を訪れた。

 そして黄泉の神と呼ばれている白髪に薄桃色の花を飾った少女に礼を尽くして訪問の目的を伝えた。




「こちらでおまちください」と通された部屋は、華やかさはないものの、落ち着いた色合いの家具で統一された客間で、壁掛けや敷物に施された刺繍は、かつてイザナミが好んで刺していた桔梗の図柄であった。

 黄泉の神も侍従と思われる者たちも肌は青白く白髪であったが、こざっぱりとした衣に揃いの帯をし、死人というよりも夜の守り人のような清廉な存在に感じた。一人待たされている間、鮮やかな花のようであったイザナミもあのように変化しているかと想像し胸が高鳴るのを感じた。


 その時、遠くで叫び声と爆発音が聞こえた。

 ざわめきと金属同士がぶつかるガチャガチャという音が近づいてきたと思ったら、部屋の扉が突然開き、黄泉の神が武装をした侍従たちと共に飛び込んできた。

「イザナギノミコト!!お命を頂戴する!!!」

 その瞬間爆風が吹き込み、同時に侍従たちが巨大な鬼の姿に変化し、大太刀や金棒で襲いかかってきた。


 辛くも部屋の窓から飛び降り黄泉国の出口の方向を目指して走った。

「逃がすな!!イザナミノミコトの名誉のために仕留めるのだ!!!」

 黄泉の神の命令に、黄泉国の者たちが追いかけてくる。

 巨大な鬼だけでなく、オオムカデに乗った子鬼など様々であったが、皆一様に憤怒(ふんぬ)の表情をし、口から毒素を吐き出していた。振り返って見た黄泉の神は、ギラギラとした赤い目をし、髪の花からうねうねと伸びたツルが冠のように頭を覆っていた。


 武器を持っていなかったイザナギノミコトは追手を躱すために、身に着けていた櫛や山葡萄のつるを後ろ手に投げ、筍やブドウの山を作りだし、最後に出口付近の退魔の桃を投げつけ脱出し、すかさず大岩で通路を塞いだ。

 塞ぐ瞬間に見えたのは、黄泉の王の後ろで青白い肌と白髪となったイザナミノミコトが涙を流しながら絶叫し、神力を暴走させる様であった。

 色は変われど美しく、恋い焦がれている相手を目に焼き付け、イザナギノミコトは意識を失った。

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