■再配置の真の効果
ディメストリアに到着した時、
門をくぐりぬけた先に広がる景色に暁斗と沙耶は目を丸くした。
それはそうだ。現代の文明に近い街並み、
王都よりも近代的な建物の数々。
しかも部屋には電気が灯り、トイレも水洗だ。
観光はまた今度ってことで2人を会議室へ案内した。
静まり返った一室。誠たちは、ディメストリアに一度戻り作戦会議の為に集まっていた。
「まずは2人を歓迎するよ。ようこそ、ディメストリアへ!」
「ありがとう!!誠たちの協力が得られて心強い!」
まずは沙耶のスキル問題から解決したい。
沙耶は話し始めた。
「……私、【聖女】ってスキルを授かっていたの。でも……転生してから、なぜか一度も発動できていないの」
誠が驚く。
「【聖女】って……魔族に対抗できる超強力スキルだろ? なんで使えないんだ?」
沙耶は首を振る。
「わからないの。ただ、頭の奥に何か……“鎖”みたいなものを感じるの。強引に使おうとすると、激しい頭痛がして……意識が飛びそうになる」
誠はしばし考えた後、口を開いた。
「俺に“鑑定”させてくれないか。スキルの状態や、異常があればわかるかもしれない」
沙耶は頷き、誠が静かにスキルを起動する。
◆鑑定スキル起動 ― “封印”された真実
誠の目に、淡く光るステータスウィンドウが浮かび上がる。
沙耶 - ステータス鑑定結果
スキル:
【聖女】Lv1(※スキル封印状態Lv∞)
補足:解除不可
状態異常:魔力封印:精神干渉
誠の表情が強張る。
「……封印されてる。魔力そのものが、止められてる状態だ」
沙耶が顔を強張らせる。
「それって……誰かに意図的に、力を封じられたってこと?」
誠は頷き、続ける。
「しかもこの封印めちゃくちゃ強い。並みの解除術式では干渉もできない。」
「……っ!」
沙耶の顔から血の気が引く。
誠はさらに続けた。
「おそらく、君のスキルが“魔族にとっては都合が悪かった”
転生直後に力を封じれば、制御できると思ったんだろう」
沙耶は拳を震わせる。
「そんな……私……ただ皆と一緒に生きたかっただけなのに……」
誠はそっと手を置く。
「でも、諦めない。きっと解く方法はある!」
誠は“鑑定”を使いながら、思考を巡らせていた。
いや、そんな事出来るわけが・・・いやでもやる価値はある。
ステータス表示……
この世界の“スキル画面”は、どこか見慣れた感覚を呼び起こす。
「このステータスウィンドウ……よく見たら、配置がグリッドになってる。
使用中のスキルと未使用のスキルが枠ごとに整理されてて……まるで、ゲームの装備画面やパッシブスキル配置欄じゃないか……」
そう、誠の脳裏に浮かんだのは、かつて社畜時代の深夜に触れていたMMORPGのUI。
「……この“ステータス画面”そのものが、要するにプログラムの表層だとしたら――
“スキルの封印”も、単に“スロットにロックがかかってる”だけ……?」
彼の目が鋭くなる。
「それなら、再配置は“ファイル移動”だ。ロックされたフォルダから、仮想デスクトップに移すようなもの――」
【誠】
[SKILL SLOT]
├─ スロットA:[再配置](使用中)
├─ スロットB:[鑑定](使用中)
├─ スロットC:[空欄]
├─ スロットD:[?:スキル構造情報](非表示) ←ロック
【沙耶】
[状態異常表示]
├─ デバフ:精神干渉(対象:沙耶)
├─ 封印:聖女【Locked】
└ 状態:スキルロック(出力位置:精神基盤レイヤー3)
誠が意識を集中させると、封印状態のアイコンが“グレーアウトされたファイル”のように浮かび上がった。
「……これ、ドラッグできる……?」
恐る恐る意識でつまむように封印状態を“選択”。
そして、近くのオブジェクト(花瓶)へ意識を向けて“ドロップ”。
すると――
【再配置成功】
封印オブジェクトを“花瓶”に転送。対象:沙耶のスキル制限、解除完了。
カコン――!
小さな音を立てて花瓶が砕ける。
沙耶のステータス画面からは“封印”アイコンが消え、
スキル【聖女】が鮮やかにアクティブ状態で点灯した。
「ふう、無事に解除できたみたいだ」
彼女の目が驚きに見開かれる。
「何かが私の中で変わったわ。」
「身体が軽い」
誠は、手に軽い痺れを感じながらも、静かに頷いた。
「……そうか。俺の“再配置”って、
この世界の“UI(見えてる画面)”を越えて、
“システムレベル”のファイル操作ができるスキルだったんだ……!」
「だから、他の誰も気づかない。“スキルの場所”とか、“効果の流れ”とか、そんな概念を動かせるのは……俺が“ユーザー目線”で考えたからだ」
「つまり、誠の“再配置”って……世界そのものの“管理者権限”みたいなものか!?」
俺たちの〈雷帝〉や〈聖女〉なんて可愛いものじゃないか・・・
暁斗は呆れている・・・
俺もそう思う。こんなのチートすぎるじゃないか。
だが、これで一気に王妃を助ける道標が出来た。




